カレリア地峡(読み)かれりあちきょう(英語表記)Карельский Перешеек/Karel'skiy Peresheek

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カレリア地峡」の意味・わかりやすい解説

カレリア地峡
かれりあちきょう
Карельский Перешеек/Karel'skiy Peresheek

ロシア連邦西部、バルト海奥のフィンランド湾ラドガ湖との間にある地峡。長さ約150キロメートル、幅は北部で110キロメートル、南部で45キロメートル。波状の低い洪積台地が続き、標高は約50メートルであるが、サンクト・ペテルブルグの北では179メートルに達する。主として片麻(へんま)岩からなり、著しい氷食を受けている。針葉樹林帯が広がり、沼沢が数多くある。南端ネバ川が横切り、白海バルト海運河の一部として利用され、その河口にサンクト・ペテルブルグが位置する。

 地峡は同市の重要な防衛線で、ソビエトフィンランド戦争(1939~40)や第二次世界大戦中の激戦地となった。地峡北西端にビボルグ港(フィンランド湾)、北東端にプリオゼルスク港(ラドガ湖)がある。

[小宮山武治]

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改訂新版 世界大百科事典 「カレリア地峡」の意味・わかりやすい解説

カレリア地峡 (カレリアちきょう)
Karel'skii peresheek

ロシア連邦北西部,レニングラード州に属し,フィンランド湾とラドガ湖によってはさまれる地峡。地峡は北東から南西にのび,長さ約170km。幅は北部で100km,南部では楔状に狭くなって50km。全体に丘陵性で,北部では片麻岩,花コウ岩などの基盤が露出,南部では氷堆石,砂,礫,粘土などの氷河を起源とする堆積物が基盤の上に載っている。最高点は173mの丘。地表マツモミなどの林で湖沼も散在する。この地峡は軍事的な要地としてスウェーデンとロシア,あるいはフィンランドとソ連の国境問題をひきおこしてきた。1721年のニスタット和約でスウェーデン領からロシア領となった。1918年から40年までフィンランド領。40年のソ・フィン戦争の結果ソ連領となった。41年7月~44年にはドイツ軍が占領した。主要都市は南端のサンクト・ペテルブルグ,北部のビボルグなどである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カレリア地峡」の意味・わかりやすい解説

カレリア地峡
カレリアちきょう
Karel'sky peresheek

ロシア北西部,フィンランド湾ラドガ湖に挟まれた地域。レニングラード州に属する。長さ約 140km,幅 50~100km,標高約 175mの波状の低い洪積台地で,針葉樹林に覆われ,多くの湖や湿地が分布する。サンクトペテルブルグとフィンランドの首都ヘルシンキ間の交通の要衝にあたり,ソ連=フィンランド戦争,および第2次世界大戦における激戦地となった。フィンランド湾沿岸には保養地が多い。

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