カルチベーター(英語表記)cultivator

翻訳|cultivator

精選版 日本国語大辞典 「カルチベーター」の意味・読み・例文・類語

カルチベーター

〘名〙 (cultivator)
耕作者。教化者。また、研究者。〔外来語辞典(1914)〕
② 田、畑などをたがやす農業用動力機械。耕耘機(こううんき)

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デジタル大辞泉 「カルチベーター」の意味・読み・例文・類語

カルチベーター(cultivator)

畑の中耕・草とり・土寄せなどに使う農機具耕耘こううん機。カルチ。

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改訂新版 世界大百科事典 「カルチベーター」の意味・わかりやすい解説

カルチベーター
cultivator

畑作物の管理作業に用いる農業機械作物が生育するにつれて,周囲の土壌が固まるので土を浅く耕す必要がある(中耕作業)。また雑草を取り除いたり(除草作業),作物の根際に土を寄せて雑草を抑えたり,作物が倒れないようにする(培土作業)ことも行われる。カルチベーターは本来このような中耕,除草,培土作業を行う機械である。しかしこれらの作業のほか,簡易耕起砕土,均平,覆土などにも広く使われることがある。

 現在日本で使用されているカルチベーターには,乗用トラクター用のものと歩行用トラクター用のものとがある。乗用トラクターでは,トラクターの後部腹部または前部にカルチベーターをつけ作業を行う。作物が生えている圃場(ほじよう)での作業であるため,トラクター操縦者からよく見える前部または腹部への装着が好まれる。歩行用トラクターでは後部にカルチベーターを装着する。

 カルチベーターの構造は,土または雑草を切るカルチベーター刃(ツール)と,それを支える支桿(しかん)(シャンク),およびシャンクを取りつけるフレームまたはツールバーよりなり,フレームやツールバーをトラクターにつけて作業をさせる。作物の生えている畝間の作業をするため畝間隔に従って,シャンクをフレームにとりつける位置を左右に動かして,ツールがちょうど畝間にくるよう調節できるようになっている。一度に何畝の作業をできるかによって,例えば〈4畝カルチベーター〉のように大きさを表示する。カルチベーター刃には大別して中耕刃,除草刃,培土刃の3種類があるが,このほか特殊な目的のためのスプリング刃,ディスク刃,護葉刃などがあり,これらの付属品の取りかえや組合せによって,本来の中耕,除草,培土のほか,簡易耕起や砕土などいろいろな作業に利用できるものである。

 カルチベーターは欧米で発達したもので,とくに18世紀にいろいろな改良が加えられ発展したといわれる。日本では明治時代に入って北海道で早くから使われていたが,第2次世界大戦後広く利用されるようになった。かつては人力用,畜力用のものも使われたが,現在日本ではトラクター用のものだけが用いられている。

 カルチベーターの作業能率は,たとえば歩行用トラクターの2畝カルチベーターで約0.3ha/h,乗用トラクター用4畝カルチベーターで1.2ha/h程度である。カルチベーター作業は作物が生えている中(立毛中)を作業するため,作物を傷つけないよう細心の注意を払う必要があり,高い作業精度を要し,トラクター操縦には神経をつかうものである。これを解決するために,自動的に作物の列を感知してトラクターを走らせる方式が開発されている。
農業機械
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百科事典マイペディア 「カルチベーター」の意味・わかりやすい解説

カルチベーター

畑の中耕除草機。車輪後方のけたに1条当り3〜4本の爪(つめ)があり,畝(うね)間の中耕除草を行う。トラクターに装着するためのフレーム,爪をフレームに取りつけるための金具おび定規車からなる。爪をつけかえることによって,中耕除草,培土(土寄せ)のほか,耕起,砕土,覆土,いも掘り,株切りなどにも使用できる。→農業機械
→関連項目除草機

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルチベーター」の意味・わかりやすい解説

カルチベーター
かるちべーたー
cultivator

欧米で開発された畑作物用の中耕除草機。中耕爪(づめ)、除草・培土刃を雑草の程度にあわせて調整し、爪刃の引き抜き作用、切断作用、埋没作用の組合せによって条間の除草を行うもので、最近は除草剤と組み合わせて、作物の生育初期から中期にかけ1~2回程度の機械除草に使用する。畜力用1条5本爪カルチベーターが1870年(明治3)プラウとともにアメリカから輸入され、北海道の畑作地帯で利用されていたが、昭和20年代に急速に普及した府県では、畑作物の中耕除草以外に、中耕爪と除草刃の調整によって、ムギの簡易整地や土入れ、ムギの踏圧(とうあつ)といも(ジャガイモ)の掘り取りなど広範囲に使用されてきた。その後、役畜が機械に置き換えられ、テイラー用の1~2条、トラクター用の3~5条の多条カルチベーターが利用され、さらに動力で爪刃を回転させながら中耕除草を行うロータリー式カルチベーターの利用が増加の傾向にある。

[佐藤清美]

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