カルダモン(読み)かるだもん(英語表記)cardamon

精選版 日本国語大辞典 「カルダモン」の意味・読み・例文・類語

カルダモン

〘名〙 (cardamon) ショウガ科多年草インド原産。高さ約二~三メートル。葉は大形の披針形で、長さ一メートル、幅一〇センチメートルぐらい。花は長さ八〇センチメートルにもなる円錐花序。苞葉に包まれ、白色で唇弁は藍色、縁は黄色を帯び、三裂する。果実は球形の蒴果で径約二センチメートル。種子は揮発性油を含み、香辛料健胃薬になる。しょうずく。しろずく。びゃくずく。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「カルダモン」の意味・読み・例文・類語

カルダモン(cardamon)

小豆蔲しょうずくの種子を乾燥した香辛料。樟脳しょうのうに似た芳香と、辛味・ほろ苦味をもつ。カレー粉の原料などに用いる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルダモン」の意味・わかりやすい解説

カルダモン
かるだもん
cardamon
[学] Elettaria cardamomum Maton

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草。和名ショウズク小豆蔲)。インドのマラバル地方原産。大きな葉を出して高さ2メートルに茂る。花茎は短く、地際から出て横にはう。インドでは4~7月に開花する。果実は秋に実り、広卵形、灰黄色の蒴果(さくか)で、長さ約2センチメートル、中に3ミリメートルほどの種子が10~20個入っている。インドやスリランカが古くからの産地で、いまは熱帯各地で栽培され、中央アメリカではグアテマラが産地として有名である。

[星川清親 2019年6月18日]

食品

果実を乾燥させ、その中の黒褐色の種子を取り出すと、強い樟脳(しょうのう)に似た芳香と、辛味とほろ苦味がする。これが香辛料のカルダモンである。サフランバニラに次ぐ高価な香辛料で、芳香性のある刺激はコーヒーの香味に似るので、デミタスコーヒー、カルダモンコーヒーなどに用いられる。また、スパニッシュメロンにふりかけると秀逸な味となり、カレー粉の主香としても非常に多く使われる。各種のソース、ピクルスミートローフペーストリーアップルパイ、洋酒などにも使われる。

[齋藤 浩 2019年6月18日]

薬用

蒴果は小豆蔲(しょうずく)の名称で取引されるが、使用するときは薄い果皮を除去して、中の種子を砕いて用いる。精油を含有しているので砕くと強い芳香と辛味を生じ、健胃、駆風剤として消化不良、胃アトニー、腹痛、下痢などの治療に用いる。ショウガ科の種子はカルダモンと同様に用いられるものが多く、益智(やくち)、縮砂(しゅくしゃ)、草果(そうか)、白豆蔲(びゃくずく)などがある。

[長沢元夫 2019年6月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カルダモン」の意味・わかりやすい解説

カルダモン
cardamon
Elettaria cardamomum White et Maton

ショウガ科の多年草。ショウズク(小豆蒄)ともいう。インド南部マラバル地方の原産で,種子を香気料とし,南インド,スリランカ,マレーシア,グアテマラに栽培が多い。カンナに似た草姿で,地下に肥厚して木質化した地下茎がある。数本ないし数十本の葉鞘(ようしよう)がまき重なった偽茎が立ち,次々と葉を出して高さ3mになる。葉は披針形で,長さ30~100cm,幅7.5~15cm。地下茎から長さ60~90cmの花茎を出し,円錐花序にショウガに似た白色の花をつける。花序の各段には花を2~3個ずつつける。唇弁は周辺が黄色で紫色の筋があり,先端が3裂する。果実は長さ2cmほどの長楕円形で3稜があり,内部は3室に分かれて,黒褐色で不規則な稜角のある3mmほどの種子が14~17個ある。完熟前のまだ果皮が開いて種子が散ってしまわないうちに,果実を摘みとる。水洗いし,硫黄で漂白したのち日干しする。種子はショウノウに似たするどい芳香をもち,カレー原料として不可欠である。ソースや肉製品にもスパイスとして用い,粉にひいて菓子や洋酒の香味づけにする。インドでは食後に口中をさわやかにするために種子をかむ。コーヒーに入れて香りを楽しむほか,インドやサウジアラビアなどイスラム圏では媚薬(びやく)としても用いるし,健胃剤にもなる。繁殖は地下茎の株分けか種子による。ショウガ科のビャクズク(白豆蒄)Amomum kepulaga Sp.et Burk.もスパイスとして使われ,英名も同じcardamonなので,しばしば本種と混同される。また近縁のシュクシャ(縮砂)A.xanthioides Wall.は漢方薬に用いる。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

食の医学館 「カルダモン」の解説

カルダモン

カルダモンは、世界でもっとも古いスパイスの1つです。別名「香りの王様」と呼ばれ、サフラン、バニラに次ぐ、高価なスパイスとしても知られています。
 アラブ諸国では、暑い日に体の熱をとるスパイスとして人気があります。
 一方、正反対に寒い北欧諸国でも、カルダモンの人気が高いのはおもしろいところです。
 カルダモンには健胃、整腸、駆風(くふう)(腸管内にたまったガスの排除)といった作用があることから、胃弱、消化不良、腹部膨満などに効果的です。
 また、高い消臭作用があるので、種子を口に含むだけで口臭防止、とくにニンニク臭やアルコール臭を抑える高い効果があります。
○食品としての使い方
 カルダモンにはシャープでさわやかな芳香と、心地よい刺激性があります。その用途は広く、カレー粉の主原料となるほか、肉料理、魚料理、ドレッシング、ピクルスなどの風味付けにも好適。
 プリンやパイ、ゼリーなどのお菓子にもよく用いられます。外側の皮につめで裂け目を入れてから煮込むと、香りがよくでます。
 また、アラブ諸国では、カルダモンの風味をつけたコーヒーが、客のもてなしに欠かせません。シナモン、クローブなどといっしょにミルクティーに入れて煮出し、マサラティーとして利用すると香りが楽しめます。

出典 小学館食の医学館について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルダモン」の意味・わかりやすい解説

カルダモン
Elettaria cardamomum

ショウガ科の多年草。ショウズク (小豆く) ともいう。インドのマラバール海岸の原産といわれ,生薬として,インド,スリランカ,グアテマラなどで広く栽培されている。高さ 3mほどになり,葉は披針形で,全草ミョウガに似ている。花は別に出る花茎上に数花ずつ集ってつく。白色花で唇弁の周囲は黄色,中央は青色で白い筋がある。 蒴果は2~3mmの三角柱状で独特な芳香があり,カルダモン cardamonと呼ばれる。成熟した 蒴果には,ユーカリプトール,テルピネオール,シネオールなどの精油を含み,種子とともに,健胃剤,風邪薬などに用いる。また,食品調味料,薬用シロップの香料としても利用される。同種の生薬として,セイロンカルダモン,ビャクズク,シュクシャなどがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「カルダモン」の意味・わかりやすい解説

カルダモン

ショウズクとも。インド,スリランカ原産のショウガ科の多年草。草丈は2〜3mにも達する。果実は長さ約2cmの卵形あるいは長楕円形をしており,その中に稜角のある黒褐色の種子が12〜20個入っている。種子はカレー,肉料理,魚料理などにスパイスとして使われるほか,デンマーク風菓子のフレーバーとして用いられる。また防腐効果や薬効が古くから知られ,健胃剤,駆風剤などとしても用いられる。カルダモンオイルは乾燥完熟果実の水蒸気蒸留によって製造され,スパイス,香料として利用される。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「カルダモン」の解説

カルダモン

 スパイスの一種で,ショウガ目ショウガ科の[Elettaria cardamomum]の種子を乾燥して作る.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android