改訂新版 世界大百科事典 「カメノコハムシ」の意味・わかりやすい解説
カメノコハムシ
Cassida nebulosa
甲虫目ハムシ科の昆虫。背面は灰白色から黄褐色で,腹面は黒色。上翅には不規則な小黒紋がある。体長約7mm。日本各地に生息し,5月ごろから出現する。アカザ,テンサイ,フダンソウなどの葉を食し,食葉の裏面に産卵する。卵塊は数層からなるが,パラフィン状の分泌物で覆われ,葉にはりつけたように付着する。幼虫は楕円形で,周縁にとげ状の突起を並べる。背方へ細長く突出する尾突起に糞を付着させる習性がある。葉上で蛹化(ようか)するが終齢幼虫の脱皮殻を尾端に残す。成虫で越冬する。カメノコハムシ類の成虫は体の周縁が扁平に外方へはり出すことで,一見カメの子のように見える。幼虫は前述のように脱皮殻や糞を尾端に残す習性がある。ヒルガオを食するジンガサハムシ,アザミ類を食するアオカメノコハムシ,ボタンズルなどを食べるコガタカメノコハムシ,ムラサキシキブ,ヤブムラサキを食べるイチモンジカメノコハムシなどがこの類である。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報