カボシュ一揆(読み)カボシュいっき

改訂新版 世界大百科事典 「カボシュ一揆」の意味・わかりやすい解説

カボシュ一揆 (カボシュいっき)

百年戦争末期の1413年パリに起こった民衆蜂起。〈サンジャック屠殺場の牛の皮剝ぎ職〉カボシュCabocheことシモネ・ル・クートリエを首領とする,当時1000人を超したといわれる食肉業者組合を中核としたところからこう呼ばれる。当時,イギリスのランカスター王家はフランス侵攻再開を策していた。フランスのバロア王家は北フランス三部会を開いて,軍資金を賄おうとした。ところが会議は王政改革論議に走り,これが民衆のコミューン的志向を刺激した。民衆の記憶には半世紀前のエティエンヌ・マルセルの乱があった。王政府はいったんはその要求にこたえる〈カボシュ党の勅令公布を余儀なくされた。しかし上層市民と組んだ王家官僚はこれを押さえこみ,あわせて彼らの背後にいた一方の党派ブルゴーニュ公権の制御にも成功したのである。ところが8月ブルゴーニュ公がパリを退去した後,対立党派アルマニャック派諸公がパリと王政府を牛耳るにいたるのである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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