カベソン(読み)かべそん(英語表記)Antonio de Cabezón

百科事典マイペディア 「カベソン」の意味・わかりやすい解説

カベソン

スペインの作曲家,オルガン奏者。北スペインのブルゴス地方出身。幼時失明するが秀でた楽才を示し,18歳でスペイン王室に召し抱えられ,フランドル出身のカルロス1世(カール5世)とその息子フェリペ2世に仕える。カルロス1世に随行してヨーロッパ各地を旅し,様々な音楽様式を吸収する一方,各楽派に影響を与えた。ポリフォニックな手法を用いた卓越した変奏曲をはじめ,そのオルガン独奏曲は深い精神性を秘め,のちに〈スペインのバッハ〉とも称えられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カベソン」の意味・わかりやすい解説

カベソン
かべそん
Antonio de Cabezón
(1510―1566)

スペインの盲目のチェンバロ奏者、オルガン奏者、作曲家。ブルゴス近郊のカストリリョに生まれる。バレンシア宮廷に仕えたのち、1526年からトレドでイサベラ王妃に、さらにその死後はカルロス1世、ついでフェリペ2世に仕えた。フェリペ2世に随行した54~56年のロンドン滞在では、イギリスの指導的な作曲家と接し、彼の得意とした変奏曲(ディフェレンシアス)などの技法を伝え、イギリスのバージナル音楽隆盛のきっかけをつくった。66年3月26日、マドリードで没した。死後、息子エルナンドにより器楽曲集(1578・マドリード)が編纂(へんさん)、出版された。

樋口隆一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カベソン」の意味・わかりやすい解説

カベソン
Cabezón, Antonio de

[生]1500.3.30. カストリリョ
[没]1566.3.26. マドリード
スペインのオルガン奏者,作曲家。 16世紀最大の鍵盤音楽家の一人。幼時に失明。フェリペ2世にオルガン奏者として仕え,随行してヨーロッパ各地をめぐり,各地の音楽様式に触れると同時に,オルガン奏者としての名声を得た。器楽曲の多くは,息子エルナンドによって死後出版された『鍵盤楽器,ハープおよびリュート曲集』 Obras de musica para tecla arpa y vihuela (1578) に収められている。

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