精選版 日本国語大辞典 「カブール」の意味・読み・例文・類語
カブール
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イタリアの政治家。サルデーニャ王国首相としてイタリアの統一を達成し,イタリア王国の初代首相となる。トリノの名門貴族の出。士官学校を卒業後16歳で工兵士官となる。しかしカブール家の開明的な雰囲気のなかで育った彼には,当時の軍隊の保守的な空気は肌に合わず,1831年職を辞し,翌年ベルチェリ地方で父親が所有する大農場の経営に着手。その後のカブールの生き方に大きな影響を与えたのは,幾度かの外国旅行のうちでも特にイギリスとフランスにおける工場制度,鉄道,自由主義との出会いであった。かくして彼は単に自己の管理する農場の生産方法を積極的に改良する有能な農業経営者にとどまらず,42年にはトリノで農業協会を設立し,さらには優れた事業家として広範な活動を展開した。例えば農産物や肥料の商業取引,割引銀行の創設,鉄道運河会社への投資といった具合である。つまり近代化という,当時のサルデーニャ王国がその存続・発展のためになさねばならなかった課題を,彼はまず民間人として実践した。ところが時代の要請は彼を政治の舞台へと駆り立てた。47年言論統制がある程度緩和されると,同志とともに日刊紙《リソルジメント》を創刊し,立憲君主制確立のために精力的に働いた。翌年3月に発布された憲法に基づいて,議員選挙が実施されると辛くも当選し,議員活動の第一歩を踏み出す。保守派による政界支配のなかで,当初少数派であった自由主義者カブールは,巧みな政治的手腕と狡猾な議会工作によって急速に発言力を強化していく。50年10月ダゼリオ内閣の農商務大臣として迎えられ,翌年大蔵大臣を兼任,52年11月にはついに首相の座につく。以後短期間を除いて61年6月の死に至るまで国政を左右する絶大な権力を行使した。
その間内政面では自由貿易政策の採用,財政の健全化,貴族や教会が持っていた諸特権の制限ないし廃止,軍隊の整備,鉄道の建設,教育の普及といった王国近代化のための諸政策を次々と実施した。他方外交面では55年クリミア戦争への参加,58年ナポレオン3世とのプロンビエールの密約などによって,王国の国際的地位の向上と宿敵オーストリア打倒による王国拡張のための基礎固めを着実に果たしていった。その結果59年7月のロンバルディア併合を皮切りに,60年3月には中部イタリア,10月ガリバルディの千人隊の活躍で平定された南部イタリアの併合を行い,61年3月ビットリオ・エマヌエレ2世のもとにイタリア王国を実現させた。かくして民族の独立・統一をスローガンとして種々の方向性をはらんで展開されたリソルジメント運動は,サルデーニャ王国による〈全国征服〉という形で終結をみた。カブール自身は新生イタリアが成立して3ヵ月もたたない間に急逝したが,自由貿易を政策の基調として〈農工の調和のとれた〉国民経済の発展を図るという彼の近代化構想は,87年の保護主義的関税改革に至るまで,イタリア近代化の基本路線を支えた。
執筆者:堺 憲一
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…正式名称=イタリア共和国Repubblica Italiana面積=30万1225km2人口(1996)=5746万0274人首都=ローマRoma(日本との時差=-8時間)主要言語=イタリア語通貨=リラLira長靴形に地中海に突出した半島を主体とする共和国。北はアルプスを境としてフランス,スイス,オーストリアに接し,東は地続きのユーゴスラビアとともにアドリア海を抱き,西はティレニア海に臨む。
【国土と住民】
現在のイタリア共和国の範囲がイタリアとして理解されるようになるのは,近代になってこの範囲においてトスカナ語が共用語として用いられるようになってからのことである。…
…【柴野 均】。。…
…【北原 敦】。。…
※「カブール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...
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