日本大百科全書(ニッポニカ) 「カッラ」の意味・わかりやすい解説
カッラ
かっら
Carlo Carrà
(1881―1966)
イタリアの画家。アレッサンドロ県のクワルジェントに生まれる。初め室内装飾家として働き、1895年ミラノに出てブレラ美術学校に学ぶ。1910年マリネッティらの呼びかけに応じて未来派の運動に参加し、12年にパリを皮切りにした国際巡回展に出品。この時期の代表作に『無政府主義者ガッリの葬礼』(1911、ニューヨーク近代美術館)がある。また美術雑誌『ラチェルバ』や『ラ・ボーチェ』を通じて未来主義の理論的支柱としても活躍した。しかし、やがてセザンヌやイタリアのプリミティブ絵画につながる形態に回帰し、16年デ・キリコらと親交をもち、モランディとともに形而上(けいじじょう)絵画の有力な一員となる。そこでは『魅せられた部屋』(1917)などにおけるように、日常的な事物の「もう一つの」意味が探求される。22年ごろ以降はアカデミックな静物や風景を描き、ミラノで没した。
[小川 煕]
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