日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
カッツ(David Katz)
かっつ
David Katz
(1884―1953)
ドイツの心理学者。カッセルの生まれ。ゲッティンゲン大学の心理学者G・E・ミュラーの弟子でその助手。のちロストック大学教授となる。ユダヤ人としてナチスによる追放にあう。1937年から晩年までストックホルム大学教授。代表的な実験現象学者としてゲシュタルト心理学のよき理解者であり、資料提供者でもあった。『色の現れ方』(1911)において平面色(スペクトルの色のような実体のない色)、表面色(物体の表面の色)、空間色(液体の色)を区別した。『触世界の構造』(1925)では触の現象を温・冷・圧・痛の要素に分析せずに、ありのままの感じを研究した。『飢えと食欲』(1932)、『人間と動物』(1937)、『ゲシュタルト心理学』(1943)などの著書により、日本でも早くから知られている。
[宇津木保]
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