カチューシャの唄(読み)かちゅーしゃのうた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カチューシャの唄」の意味・わかりやすい解説

カチューシャの唄
かちゅーしゃのうた

流行歌の曲名島村抱月(第1節)・相馬御風(そうまぎょふう)(第2~5節)作詞、中山晋平(しんぺい)作曲。1914年(大正3)3月、芸術座公演『復活』の劇中歌として、東京・帝国劇場でカチューシャ役の松井須磨子(すまこ)が歌った。このあと芸術座は大阪、京都と巡演。京都で初めて満員盛況となり、同地の東洋蓄音器は「復活唱歌」の名称でレコードを発売した。平易な歌詞と半音のない日本人向きの旋律が好まれ、また『復活』公演の人気とも相まって各地に広まったが、全国的に歌われるのは同年6月中旬以降である。

 大正デモクラシー高潮という時代背景がある反面、逆に第一次世界大戦前夜ということもあって、この歌唱を禁止する府県や学校が続出した。大正期を通じて流行歌の王座に位した歌である。

[倉田喜弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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