カタラン語(読み)カタランご(英語表記)Catalan language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カタラン語」の意味・わかりやすい解説

カタラン語
カタランご
Catalan language

スペインのカタルニャ地方を中心に,500万~700万人以上の話し手をもつロマンス語。カタルニャ地方のほか,隣接するアラゴン地方,バレンシア地方,バレアレス諸島,フランスのルーシヨン地方にも行われる。カタルニャならびにルーシヨンに行われていたラテン語が発展したものであり,スペイン語やプロバンス語と近い関係にはあるが,現在では,昇り二重母音 (ie,ueなど) がなく,降り二重母音 (eu,au,ouなど) が多いなどの音韻面,複合過去を多用するなどの文法面で,スペイン語と大きな差異を示す。時代による変化は少く,現在の方言差も小さいが,大別して西部 (西カタルニャ,バレンシア) と東部 (東カタルニャ,バレアレス,ルーシヨン) の2つの方言群に分けられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカタラン語の言及

【ロマンス語】より


[分類・分布]
 ロマンス語の分類に関してはさまざまな試みがなされているが,19世紀末に死滅したダルマティア語(かつてアドリア海東岸に分布)を今日使用されているロマンス語に加えたうえで,次のような分類が考えられる(配列順序はヨーロッパにおける分布をおおよそ西から東にたどったもの)。(1)ポルトガル語,(2)スペイン語,(3)カタロニア語(カタルニャ語,カタラン語とも),(4)オック語(オクシタン(語)とも),(5)フランコ・プロバンス語Franco‐Provençal,(6)フランス語,(7)レト・ロマン語(レト・ロマンス語とも),(8)サルジニア語(サルデーニャ語とも),(9)イタリア語,(10)ダルマティア語Dalmatian,(11)ルーマニア語。これらの〈言語〉はいずれもいくつかの地域的な変種(方言)を含んでいるが,(1)(2)(3)(6)(9)(11)のように超局地的な共通語(標準語)の確立している言語と,そのような標準語をもたない(4)(5)(7)(8)(10)のような言語とがある。…

※「カタラン語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android