カソーナ(読み)かそーな(英語表記)Casona, Alejandro

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カソーナ」の意味・わかりやすい解説

カソーナ
かそーな
Alejandro Casona
(1903―1965)

スペインの劇作家アストゥリアス県ベスーリョ出身。小学校教師をしながら児童劇団を結成して脚本を担当、また当時の政府の援助による移動劇団を率いて地方巡業にも出た。『陸(おか)にあがった人魚』(1934)の成功を契機に劇作家の道に入るが、内戦でフランスに亡命。中南米諸国を経て、晩年の帰国までおもにアルゼンチンで作家活動を続けた。作品の基調は現実と非現実の巧みな調和にあり、代表作『暁に来る女』(1944)は死を主題にした詩情豊かな作品。ほかに『漁夫なき漁船』(1945)、『立ち枯れ』(1949)など。マドリードで没。

[菅 愛子

『J・ナバッロ訳『漁夫なき漁船』(1966・桂書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カソーナ」の意味・わかりやすい解説

カソーナ
Casona, Alejandro

[生]1903.3.23. アストゥリアス,ベスーリョ
[没]1965.9.17. マドリード
スペインの劇作家。ムルシア大学で文学を学んだのち,高等師範学校を出て教師になった。共和制成立から内乱にいたるまで (1931~36) ,「国民劇団」を率いて古典演劇の大衆化に努め,みずからも『陸にあがった人魚』 La sirena varada (34,ロペ・デ・ベガ賞) で劇作家として出発,心理や概念の人格化によって現実と非現実の相互作用を幻想的に描く多くの作品で,スペイン演劇蘇生に大きな役割を果した。 1937年内乱を逃れてラテンアメリカ各地を公演し,39年からアルゼンチンに定住して新作を書いた。 56年に帰国。

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