日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
カストロ(Josué de Castro)
かすとろ
Josué de Castro
(1908―1973)
ブラジルの栄養学者、人文・経済地理学者。北東部ペルナンブコ州レシフェに生まれる。1939年以降、国立リオ・デ・ジャネイロ大学で栄養学、人文地理学講座を担当。そのかたわら、1952~1956年の間には国連食糧農業機関(FAO)理事会議長の職にあったほか、多くの国際会議でブラジル代表として活躍した。しかし、1964年の軍事クーデターで公職を追放され、パリに移り国際的活動を続けたが、1973年同地で客死した。主著『飢餓の地政学』Geopolítica da Fome(1951)で、全世界的な飢餓現象の実態とその社会的・経済的背景を解明。現代の飢餓が、自然的要因によるものではなく、西洋物質文明の享受を妨げる誤った社会・経済組織の所産にほかならないと主張し、大きな国際的反響を呼び起こした。
[本多健吉]
『国際食糧農業協会訳『飢えの地理学』(1955・理論社)』▽『ジョズエ・デ・カストロ著、大沢邦雄訳『飢餓社会の構造』(1975・みき書房)』
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