カシミヤ(毛織物)(読み)かしみや(英語表記)cashmere

翻訳|cashmere

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カシミヤ(毛織物)」の意味・わかりやすい解説

カシミヤ(毛織物)
かしみや
cashmere

カシミヤショールともよばれ、インドのカシミール地方のカシミヤヤギや、チベットのヤギの軟毛(なんもう)を使って細く紡績したのち綾織(あやおり)にしたうえに、刺しゅうまたは縫い取りによって緻密(ちみつ)な伝統的文様を表した毛織物。16世紀から18世紀にかけて盛んに製織され、製品は世界的に賞美されたが、機械生産の発達により衰退した。現在、カシミヤと称しているのはこれとは別で、カシミヤ毛を使って平織または綾織とし、製織ののち縮絨(しゅくじゅう)・起毛して毛並みを一方にそろえて伏せ、光沢を出したものである。手ざわりがきわめて柔らかく、しかも軽いため、オーバー地、襟巻地などに使われる高級の紡毛織物である。しかし強度が比較的弱いのが欠点で、取扱いには慎重を要する。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例