カシキズモ(読み)かしきずも(英語表記)Caciquismo スペイン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カシキズモ」の意味・わかりやすい解説

カシキズモ
かしきずも
Caciquismo スペイン語

さまざまなエリートが国家のために在地勢力を利用して支配を行うスペインの寡頭政治制度。この在地勢力はピラミッド型に組織され、地方ボスの支配を受けていた。このエリートのいわば手先である地方ボスがカシーケである。彼らは地主やその代理人、在地有力者などで、農民を支配し、聖職者、治安警備隊と組んで末端行政機構を掌握していた。選挙時には買収恐喝などの不正手段を用いて票の操作を行い、政府に協力する一方、その代償として、水利権を得たり公共事業を請け負ったりした。カシキズモは、選挙制度の普及とともに盛んになり、王政復古(1875)の時代に頂点を迎えたが、内戦(1936~39)までには消滅した。

[野谷文昭]

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百科事典マイペディア 「カシキズモ」の意味・わかりやすい解説

カシキズモ

スペイン近代政治の底に残存する封建的な人格的支配関係。カシケcaciqueはスペインの小都会や農村顔役・親方的存在を意味する。スペインに遍在する大地主と零細農民の間の封建的小作関係が地主の弱小農民に対する政治的支配を成立させる社会的・経済的基礎となる。現在のラテン・アメリカでは,地方の政治上のボスがカシケと呼ばれることが多く,彼らの政治がカシキズモといわれている。

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