カシ(樫)(読み)カシ

百科事典マイペディア 「カシ(樫)」の意味・わかりやすい解説

カシ(樫)【カシ】

ブナ科コナラ属のうち,特に常緑性のものの総称であるが,関東でカシといえば多くはシラカシ,名古屋付近ではウラジロガシ,関西ではアラカシをいう。日本産のカシ類はアカガシ,アラカシ,イチイガシウバメガシ,ウラジロガシ,シラカシ,ツクバネガシ,ハナガガシ,オキナワウラジロガシの9種で,本州〜沖縄の山地に自生する。多くは高木で,照葉樹林の主要構成種である。花は風媒で雌雄同株。果実はどんぐりで,殻斗には同心円状のひだがある。アカガシは樹皮が緑灰黒色で剥離(はくり)し,新枝葉には黄褐色の長軟毛がある。葉は大きく厚い。名は材が淡紅褐色で赤みが強いため。アラカシは最も普通に見られ,葉の裏には毛が密生して白い。イチイガシは,葉の裏面にはビロード状の毛を生じ黄白色。果実は食べられる。ウラジロガシは樹皮が灰色でなめらか。葉の裏は白い。シラカシはよく植栽され,葉は革質で裏は灰白色。ウバメガシは沿海の岩礫(がんれき)地にはえ,樹形は他と異なって,主幹が直立せず,果実は食べられる。材は一般に堅くて重く良材とされ,船舶,車両,器具,木型,農具,大工道具などに用いられる。また木炭にもされ,特にウバメガシのは木炭中最も硬質で備長(びんちょう)炭といわれる。
→関連項目タンニン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カシ(樫)」の意味・わかりやすい解説

カシ(樫)
カシ
oak

ブナ科コナラ属 Quercusの常緑高木の総称。北半球の温帯に多くの種類が自生し照葉樹林を形成する。日本のものにはシラカシ (白樫)アカガシ (赤樫)アラカシ (粗樫),イチイガシ,ウバメガシ (姥芽樫)などがある。葉は革質で,上半に鋸歯があり互生する。雌雄同株。初夏に,新しい枝の下方の葉腋に雄花穂を,上方に雌花穂をつける。雄花穂には黄色の小花が多数ついて細長く垂れ下がる。雌花穂には数個の花がついて直立する。果実はどんぐりと呼ばれ,総包片が癒合してできた椀状の殻斗 (かくと) が果実を抱く。材は堅く耐湿性もあるので,船舶,農具の柄などに用いる。樹皮は染料に用いる。果実からタンニンを除き,デンプンをとる。

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