精選版 日本国語大辞典 「カザフ語」の意味・読み・例文・類語
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翻訳|Kazakh
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カスピ海から東へ中国に接するまでの広大な地域をもつ中央アジアのカザフスタン共和国と中国,モンゴルで話されている。前者には旧ソ連内のカザフ人の約80%に相当する約700万人が住み,そのうちの約98%の母語。ただし,同共和国の総人口の約42%を占めるにすぎず,1980年代末まではむしろロシア人の方が多かった。これはウラルの工業地帯が同共和国の北部まで延びて来たためである。中国とモンゴルの話し手は100万余。カザフ語はかつてキルギス語といい,現在のキルギス語はカラキルギス語といった。言語の系統としてはチュルク諸語に属し,ノガイ語,カラカルパク語に近い。母音はи,ы,y,[ü],o,ɵ[ö],e,aのほかにə([æ]か)ともう一つiがある。иはит(犬)のи,iはiш(中)のiである。15~16世紀に民族語として成立し,19世紀後半にアラビア文字文語ができたが,1938年にロシア文字による正書法に改められた。
→カザフ族
執筆者:柴田 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
カザフスタン共和国で約800万人(1989)、中国の新疆(しんきょう/シンチヤン)ウイグル自治区で約110万人(1990)、モンゴル国で約10万人が使用している、トルコ系諸言語の一つ。カザフ語とよばれるが、カザックと自称するからカザック語とよぶべきである。同様に、「カザフスタン」よりも「カザクスタン」とするのがより正確な表記といえよう。トルコ語族のうち、キルギズ語などとともに中央語派に属する。他のトルコ諸語の語頭の[j]が[ʒ]で対応する特徴を有する(žol/、トルコ/yol/「道」)。広い分布をもつが、方言差は大きくない。カザフスタン共和国では、東北方言が文語の基礎をなす。文字言語は19世紀後半アラビア・ペルシア文字によって始まり、ラテン字母を経て、1938年からキリル文字による正書法を採用しているが、ラテン化が進んでいる。中国では漢語拼音(ぴんいん)字母による正書法を使っていたが、アラビア文字が復活した。
[竹内和夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ほかにロシア人が21.5%いる。かつてカザフ語をキルギス語といい,キルギス語をカラキルギス語といったことがある。言語の系統としてはチュルク諸語に属し,ハカス語,ウイグル語に近い。…
※「カザフ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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