カサブランカ(映画)(読み)かさぶらんか(英語表記)Casablanca

翻訳|Casablanca

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カサブランカ(映画)」の意味・わかりやすい解説

カサブランカ(映画)
かさぶらんか
Casablanca

アメリカ映画。監督マイケル・カーティスMichael Curtiz(1888―1962)。1942年作品。ロマンスと戦争の二項対立的なドラマを主題にした、ハリウッド映画黄金期の代表的作品。当時のハリウッドの個性派スターの中心的存在であったハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが主演し、彼らが織りなすロマンスだけでなく、スター俳優として各々がもつ個性的な人格イメージと第二次世界大戦中のアメリカの社会イデオロギーとが絡み合った文脈深みのある物語構造となっている。シニカルで孤立主義的なボガート演じるモロッコ酒場の店主リックが、ナチスの支配が強まるなか、スター女優として聖母のような人格イメージをもっていたバーグマン演じる女性イルザを逃がし、自らはとどまる決意をする。スター俳優の個性とイメージを巧みに利用し、ドラマのなかで主人公リックを孤立主義的立場から反ナチスの立場へと導くさまは、当時のアメリカという国家の政局を表象するだけでなく、ハリウッドの政治的姿勢も反映されている。1943年のアカデミー作品賞、監督賞、脚色賞を受賞。1946年(昭和21)日本公開。

[堤龍一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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