オーラミン(英語表記)auramine

精選版 日本国語大辞典 「オーラミン」の意味・読み・例文・類語

オーラミン

〘名〙 (auramine) 塩基性染料一つ化学式 C17H22ClN3 黄色結晶性粉末。鮮明な黄色に染め上がるが、水につけて七〇度以上に加熱すると分解して脱色することがある。木綿ナイロン、絹、羊毛などのほか紙、木材皮革染色に広く用いる。
※社会百方面(1897)〈松原岩五郎椋鳥「是れはオーラミンなり是はインジゴなり」

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デジタル大辞泉 「オーラミン」の意味・読み・例文・類語

オーラミン(auramine)

代表的な黄色塩基性染料。着色性がよく、木綿・紙・皮革などの染色に広く用いられる。以前は食品にも用いたが、毒性があり現在は使用禁止。

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改訂新版 世界大百科事典 「オーラミン」の意味・わかりやすい解説

オーラミン
auramine


ジフェニルメタン系構造をもつ,代表的黄色塩基性染料。NN-ジメチルアニリン中に硫黄を溶かし,これに塩化アンモニウムおよび食塩を加えてアンモニア気流中で175℃に加熱する方法,またはジメチルアニリンとホスゲンからミヒラーケトン(4,4′-ビスジメチルアミノベンゾフェノン)をつくり,これにアンモニアと塩化亜鉛を加えて150~160℃に加熱する方法で製造される。水,エチルアルコールに黄色に溶ける。

とくに光に弱いが(耐光堅牢度1級),色が鮮明で美しく,繊維の染色ばかりでなく,紙,皮革の染色,染めつけレーキ顔料に用いられる。たくあんなどの着色にも用いられたが,現在は食品への使用が禁じられている。 
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーラミン」の意味・わかりやすい解説

オーラミン
おーらみん
auramine

ジフェニルメタン系の黄色塩基性染料。4,4'-ビスジメチルアミノジフェニルメタンを硫黄(いおう)、塩化アンモニウム、塩化ナトリウムとアンモニア気流下で約200℃に加熱して合成される。各種繊維や、木、革、紙などを黄色に染色できる。着色力は強いが、耐光性が低いこと、水中で70℃に加熱するとミヒラーケトンに加水分解することが欠点である。安価であるので多量に生産されている。沢庵(たくあん)の着色に用いられることもあったが、毒性のあるところから現在では食品用色素としての使用は禁止されている。商品名はオーラミンOである。オーラミンGはオーラミンのメチル誘導体で、オーラミンよりもやや緑みがある。

[飛田満彦]


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百科事典マイペディア 「オーラミン」の意味・わかりやすい解説

オーラミン

黄色塩基性染料の一種。ミヒラーケトン(CH32N・C6H4・CO・C6H4・N(CH32を塩化アンモニウムおよび塩化亜鉛と熱するなどの方法で得られる。水,エチルアルコールを加えると黄色に溶ける。鮮やかな発色を示し,繊維のほか紙や皮革の染色などに使用される。たくあんなどの着色にも使用されたが,現在は食品に使うことは禁じられている。(図)
→関連項目春慶塗

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化学辞典 第2版 「オーラミン」の解説

オーラミン
オーラミン
auramine

bis[(4-dimethylamino)phenyl]methylimine hydrochloride.C17H22ClN3(303.83).C.I.Basic Yellow 2ともいう.ミヒラーケトンを塩化アンモニウム,塩化亜鉛と加熱すると得られる.ジフェニルメタン系塩基性染料.黄色の粉末.融点267 ℃.絹・羊毛の黄色染料.紙,皮革,木材の染色にも用いられる.[CAS 2465-27-2]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーラミン」の意味・わかりやすい解説

オーラミン
auramine

代表的なジフェニルメタン系塩基性染料。 C17H22ClN3 。融点 267℃の黄色結晶性粉末。木綿,ナイロンなどを美しい黄色に染め,しかも安価であるが,光に弱く,水とともに 70℃以上に熱すると分解するという欠点がある。ほかに皮革や紙などの染色や,レーキ顔料製造などにも利用される。以前はたくあんなど,食品の着色料に使われたが,発癌性物質であるため現在は禁止されている。

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栄養・生化学辞典 「オーラミン」の解説

オーラミン

 合成黄色色素.

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