フランスの作家セナンクールの自伝的小説。1804年発表。主人公オーベルマンは大革命前夜に生まれ、18世紀の百科全書派(アンシクロペディスト)の思想的風土に育ったが、革命の動乱による大打撃と、革命後の社会の現実に対する失望から、彼の心に生じた不安、憂鬱(ゆううつ)、倦怠(けんたい)を丹念に分析し、友人にあてた書簡の形で書き綴(つづ)る。この作品は、スイスの山中に放浪生活を送る作者の20歳から30歳に至るまでの内面の真摯(しんし)な記録といえる。と同時に、革命によってもたらされた当時の青年たちの深い挫折(ざせつ)感など、いわゆる「世紀病」の記述によって同時代の忠実な証言となっている。また、主人公の孤独な魂の告白が、美しい自然のなかで、自然の神秘に対する深い瞑想(めいそう)のうちになされていることも注目に値する。これらの点からこの作品は、1830年代の世代――ロマン派の世代の共感をよび、フランス文学史上、特異な作品の一つとなっている。
[山下佳代子]
『市原豊太訳『オーベルマン』(岩波文庫)』
血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新