オーストリア−ハンガリー帝国(読み)オーストリア−ハンガリーていこく(英語表記)Österreich−Ungarn

旺文社世界史事典 三訂版 の解説

オーストリア−ハンガリー帝国
オーストリア−ハンガリーていこく
Österreich−Ungarn

1867〜1918
普墺 (ふおう) 戦争後の1867年,オーストリアのドイツ人とマジャール人ハンガリー人)の妥協(アウスグライヒ)によって成立した多民族国家。オーストリア皇帝がハンガリー王を兼任したので,二重帝国ともいう
オーストリアは普墺戦争に敗れ,ドイツの統一に除外されてのち,領内のスラヴ諸族の反抗を抑えるため,ハンガリー貴族(マジャール系)との妥協を成立させハンガリー王国の建設を許し,オーストリア皇帝がハンガリー王を兼ねる同君連合の帝国を樹立した。君主・外交・財政・軍事を共同にするほかは,おのおの別個の政府と議会を持って独立の政治を行うことになり,マジャール人の宿望は一応達成された。この国の外交方針は,ロシアのパン−スラヴ主義的進出に対抗するため,ドイツとの提携を密にすることにあり,1879年には両国間に軍事同盟独墺同盟)が結ばれた。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ併合問題からバルカンの事態は険悪となり,1914年サライェヴォ事件によって第一次世界大戦が起こった。1918年オーストリアは単独で休戦条約に調印するが,同時に国内に革命が起こってハプスブルク家が倒れた。そして共和政が宣せられるとともに,ハンガリーは分離し,スラヴ諸民族もそれぞれ独立した。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

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