オースティン(John Langshaw Austin)(読み)おーすてぃん(英語表記)John Langshaw Austin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オースティン(John Langshaw Austin)
おーすてぃん
John Langshaw Austin
(1911―1960)

イギリス哲学者。3月26日ランカスターに生まれる。オックスフォード大学で古典学、哲学を学び、第二次世界大戦中に陸軍情報将校として活躍した期間を除き、オックスフォードにおけるもっとも影響力のある哲学教師として、1960年2月8日に没するまで研究、指導を行った。1952年以降はホワイト記念道徳哲学教授に就任、また大学出版局の理事を務めるなど、大学行政の側面でも重要な役割を果たした。学問的には、言語行為speech actsという概念を提出、分析したことによって、哲学界ばかりでなく、言語学、心理学、社会学の分野にまで大きな影響を及ぼした。また、行為に関して「釈明」の仕方から分析するという特異な方法により、自由意志、責任などの倫理的問題を再検討する一方、「遂行的」という概念による知識の分析、同じオックスフォード大学のエイヤーを批判する知覚論、同じくストローソンを批判する真理論などによって、現代哲学に独自の貢献をなす日常言語学派の中心的指導者であった。

土屋 俊 2015年7月21日]

『J・L・オースティン著、坂本百大訳『言語と行為』(1978・大修館書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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