1914年に起草され、1925年に制定されたオリンピックの原則を記した規定である。それまで、IOC(国際オリンピック委員会)はクーベルタンの意見と総会の協議で案件を処理していた。1948年に「オリンピック規約・規則」と改称されたが、1978年の大改定で元のオリンピック憲章という名称に戻った。しかし、その編成の根本はほとんど変わっていない。
憲章はオリンピズムの根本原則、規則、付属細則を成文化している。オリンピズムの根本原則は別欄のとおりであるが、要約すると、オリンピックの目的を、スポーツの基礎である肉体的、道義的性質の発展を推進し、スポーツを通じ相互理解の増進と友好の精神によって若人(わこうど)たちを教育し、それによってよりよい、より平和な世界の建設に協力することとしている。
オリンピック大会は4年ごとに開かれ、大会はすべての国の競技者を公平、平等に参加させる。大会を開催する栄誉は都市に与えられ、その都市の選定はIOCの専権とする。オリンピック・シンボル、旗、標語(より速く、より高く、より強く)、讃歌はIOCの独占所有物である。オリンピック・シンボルは、5個の互いに組み合わされた輪、すなわち青、黄、黒、緑、赤が左から右へこの順番で並ぶ。オリンピック大会は、個人やチームの間で競われるものであり、国と国の間で競われるものではない。オリンピックの賞では、一等賞は銀台に金メッキしたメダル、二等賞は銀メダル、三等賞は赤銅メダル、また第1位から第8位までに賞状を授与することになっている。
アマチュアリズムとの関係からいつも問題となる参加資格については、1967年の改定でアマチュアという文言をなくし、各IF(国際競技連盟International Sports Federation)のアマチュア規定が相互に不一致であっても、その規定に任せることとなった。また、各IFの定める参加資格を尊重するため、プロの参加も全面的に解禁となっている。ただし、その規定はIOCの承認が必要であって、比較的広くとらえようとするIFの一つであるFIFA(国際サッカー連盟)などの参加資格との調整が問題になる場合が多い。
[鈴木良徳]
オリンピック憲章は、IOCの最高機関である総会の権限により改正され、2019年11月時点の最新版は、2019年6月26日から有効のものである。
[編集部 2019年11月20日]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…オリンピックの理想を追求するオリンピック運動の原則をオリンピズムOlympismと呼ぶ。
[オリンピック憲章]
IOCのオリンピック憲章Olympic Charterは,第1章の〈根本原則〉で,オリンピック運動の目的を次のように定めている。(1)スポーツの基調となる身体的・道徳的資質の発達を促進する。…
※「オリンピック憲章」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新