オリオン(宇宙船)(読み)おりおん(英語表記)Orion

翻訳|Orion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリオン(宇宙船)」の意味・わかりやすい解説

オリオン(宇宙船)
おりおん
Orion

NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)が開発している有人宇宙船。2011年のスペースシャトルの引退後、国際宇宙ステーションや月および火星などへの有人輸送手段として開発が始まった。形状はアポロ計画の際の宇宙船に類似しているが、使い捨てではなく複数回の使用が想定されている。打ち上げ用ロケットは、デルタⅣヘビーHeavyで実験されているが、運用段階ではアレスⅠの予定である。オリオン本体の大きさは直径5メートル、与圧部分の体積は約20立方メートル、居住部分の体積は約9立方メートルである。本体の質量は約10トンで、機械船なども含めると約25トンになる。当初、NASAの次期有人月着陸計画であるコンステレーション計画での使用を前提に開発されていた。しかし、計画の中止に伴い、スペースシャトルの代替機として国際宇宙ステーションへの人員物資の輸送に開発目標が変更された。その後、小惑星や火星への有人探査も視野に開発が続けられている。2014年12月には無人での初飛行を成功させ、2022年11月にはアルテミス計画(国際有人月探査計画)の1号機として、月周回軌道への無人試験飛行を成功させた。2024年にはアルテミス2号機として乗員4名による月楕円軌道への有人飛行を予定している。

[編集部 2023年10月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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