オビキヌハダタナバタメギス(読み)おびきぬはだたなばためぎす(英語表記)Tanaka's dottyback

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オビキヌハダタナバタメギス
おびきぬはだたなばためぎす / 帯絹肌七夕眼鱚
Tanaka's dottyback
[学] Lubbockichthys tanakai

硬骨魚綱スズキ目メギス科に属する海水魚。日本からは伊江島(いえじま)、久米島(くめじま)、西表島(いりおもてじま)の海域から知られ、フィリピンの海域にも分布する。背びれと臀(しり)びれの棘(きょく)が2本で、棘部と軟条部の間に欠刻(切れ込み)がなく、側線は2本、体の背面に黒色の縦帯があるのが顕著な特徴である。体は著しく細長く、側扁(そくへん)する。体高は背びれの起部で体長の約21%。頭部背縁は緩く湾曲する。吻長(ふんちょう)は眼径よりかなり短い。口は大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁付近下に達する。上顎の前部に3対(つい)の著しく長い湾曲した犬歯状歯があり、中央部の対はもっとも小さい。上顎の前方に3~5列、側方に1~2列の小さい円錐歯(えんすいし)がある。下顎では前部に3~4対の上顎と同様の犬歯があり、前方に3~4列、側方に1列の円錐歯がある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に1~2列の小さいじょうぶな円錐歯が逆V字形に並ぶ。口蓋骨歯は1~3列。側線は2本あり、前方のものは鰓孔(さいこう)の上端から始まり、上昇して背びれ軟条始部下付近から体の背縁に並行して、背びれ18~20軟条下方で終わり、側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は56~58枚。後方の側線は臀びれの前部上方の体側中央部から尾柄(びへい)中央部まで走り、側線有孔鱗数は19~24枚。側線孔は単一形。背びれは鰓孔上方から始まり、2本の弱い弾力性のある棘と26~27本の軟条からなる。背びれの棘部と軟条部の間に欠刻がない。臀びれは2棘と分枝した15~16軟条。すべての鱗(うろこ)は円鱗。背びれと臀びれに鱗鞘(りんしょう)(基底付近を覆う鱗)がない。尾びれの後縁は截形(せっけい)(後縁が上下に直線状)から円形。体には項部(背びれ起部より前の後頭部)から背側面に沿って尾びれの基底部まで幅の広い暗灰色から黒色の帯状斑(はん)が走り、その終端に大きな黒点がある。頭は淡桃色から鮮赤色または深紅色で、腹方は薄い。背びれと臀びれの基底部から3分の1は鮮黄色。尾びれは基底の黒色部を除いて鮮黄色。水深20~55メートルのサンゴ礁壁の小さな穴の中や張り出しの下などにすむ。体長は4センチメートルあまりにしかならない小形種。水族館で飼育される。

[尼岡邦夫 2022年2月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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