オノオレカンバ(読み)おのおれかんば

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オノオレカンバ」の意味・わかりやすい解説

オノオレカンバ
おのおれかんば / 斧折樺
[学] Betula schmidtii Regel

カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉高木で、高さ15メートル以上になる。樹皮は暗灰色で、粗く割れる。小枝は細く、暗褐色で、若いときには腺点(せんてん)および毛がある。葉は長卵形で、縁(へり)には細かい鋸歯(きょし)があり、先がとがり基部は円い。雌雄同株で、雄花序は枝の先のほうに前年秋から現れ、5月ごろ開く。雌花序は春に短枝の先に現れ、秋に熟して直立した果序となる。堅果は楕円(だえん)形、長さ2ミリメートルで、ほとんど翼がない。材が堅く、切るとき斧(おの)が折れるほどだというのでこの名がある。略してオノオレともいう。中部地方以北の本州に分布し、岩の多い山地や岩壁、露頭などに生える。朝鮮半島、中国東北部、ウスリー地方にも分布する。材が堅いので、器具の軸や柄(え)、櫛(くし)などの細工物に用いる。

[菊沢喜八郎 2020年2月17日]

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