日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
オットー(Nikolaus August Otto)
おっとー
Nikolaus August Otto
(1832―1891)
ドイツの技術者。ケルンの商人であったが、1861年フランスのルノアールの発明したガス機関の新聞記事を読み、日ごろ技術や自然科学についてもっていた興味を刺激され、蒸気機関よりも能率のいいガス機関をつくろうと思いたった。ケルンの技師で技術の経験豊かなランゲンEugen Langen(1833―1895)と共同し1864年にN・A・オットー商会を設立、1866年、自由ピストン機関の製作に成功した。この機関は1867年に開催されたパリの万国博覧会での比較試験で、ルノアールの機関よりもガスの消費量がずっと少ないことが証明され金賞を得た。1872年にドイツガス発動機会社を創立し、その初代社長となった。ランゲンは副社長となり、ダイムラーを迎え入れてガス機関の開発に専念。1877年、4サイクルガス機関を完成し特許をとった。1862年フランスのド・ロシャAlphonse Beau de Rochas(1815―1893)の考えた4サイクル方式を現実のものとした。1878年パリで行われた万国博覧会でその能率の高いことで人々を驚嘆せしめた。これが「オットー機関」といわれるガス機関で、最初に実用になった内燃機関であった。
[中山秀太郎]