日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
オズボーン(Thomas Osborn)
おずぼーん
Thomas Osborn
(1859―1926)
アメリカの獄制改革者。ニューヨーク州オーバーンの農機具商の家に生まれ、ハーバード大学に学んだ。大学卒業後、オーバーン市の新聞を発行したり、同市の市長を務めるなど、社会的、政治的に活躍した。1913年ニューヨーク州刑務所改良委員会の委員長となって以来、獄制改革運動に身を投じた。刑務所は犯罪者を罰する所ではなく、責任感を養う自主的教育の場であり、社会に復帰させることが目的でなければならないとして、自ら志願囚としてオーバーン刑務所に入り、その体験を生かして刑務所内に囚人による善行組合Mutual Welfare Leagueをつくった。1914年1月にはオーバーン刑務所で、同年11月にはシンシン刑務所で、のち1917年ポーツマス連邦刑務所所長になってからは同刑務所で、囚人自治制を試みるなど、受刑者の規律的生活のあり方に一つの指針を与え、彼の思想はしだいに各国に取り入れられるようになった。
[須々木主一]