オサゾン

化学辞典 第2版 「オサゾン」の解説

オサゾン
オサゾン
osazone

α-ヒドロキシアルデヒド,α-ヒドロキシケトン,α-ジカルボニル化合物などとヒドラジン類との縮合によって生じるジヒドラゾンの総称還元糖に3 mol 以上のフェニルヒドラジンを作用させると得られるオサゾン(同時にアニリンアンモニアとが副生)が代表的であり,これをフェニルオサゾンという.アルドースから出発した場合は,まずフェニルヒドラゾンが生成し,ついでアマドリ転位を経て生成する.一般に,黄色の結晶.水に難溶,熱エタノールに可溶.それぞれ特有の融点をもち,糖の分離,確認,定量,相互関係の証明などに利用される.たとえば,D-グルコースD-マンノース,D-フルクトース,D-グルコサミンは同一のオサゾンを生じるので,これら4種類の糖では,フェニルヒドラジンとの反応に関与しない3位以下の炭素原子の構造が同一であることがわかる.オサゾンを硫酸銅水溶液と熱するとオソトリアゾールとなり,濃塩酸またはベンズアルデヒドと処理するとオソンとなる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「オサゾン」の解説

オサゾン

 一般式は,-C(=NNHC6H5)-C(=NNHC6H5)-と表す.フェニルヒドラジン2分子とα-ヒドロキシアルデヒド,α-アミノケトン,α-ジケトンなど,隣接炭素原子の一方に=O,他方に=O,-OH,-NH2官能基を有する化合物(例えばグルコース)が縮合して得られるジヒドラゾンの総称.フェニルヒドラジンはニトロ誘導体,ブロモ誘導体の場合もある.フェニルヒドラジンを用いたフェニルオサゾンが代表的で,単にオサゾンともいう.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オサゾン」の意味・わかりやすい解説

オサゾン
osazon

α-ジケトン,α-ヒドロキシケトン,α-アミノケトン,およびα-ケトアルデヒド,α-ヒドロキシアルデヒド,α-アミノアルデヒドなどのように,隣接する炭素原子の一方に =O ,他方に =O ,-OH ,-NH2 のついた化合物に2分子のヒドラジン類が縮合して生じるジヒドラゾン類の総称。一般に水に難溶,エチルアルコールに易溶の黄色結晶。アルドースまたはケトースのオサゾンはこれらの定性確認に重要である。

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