エンテベ空港事件(読み)エンテベくうこうじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンテベ空港事件」の意味・わかりやすい解説

エンテベ空港事件
エンテベくうこうじけん

1976年7月,イスラエルの特殊部隊がウガンダのエンテベ空港を奇襲し,ハイジャック犯人らを射殺人質を救出した事件。同年6月 27日イスラエル人約 80人を含む 258人の乗客を乗せたエールフランスのエアバス機が,アテネ空港を離陸した直後にハイジャックされ,リビアのベンガジ空港で給油したのち,ウガンダのエンテベ空港に着陸西ドイツ人2人,パレスチナ人2人を含むハイジャック犯人は,イスラエル,西ドイツ,ケニア,スイス,フランスに拘禁されているパレスチナ・ゲリラ 53人の釈放を要求。仲介に立ったウガンダのイディ・アミン大統領は,これをフランス外務省に伝達。その後人質は,イスラエル人およびユダヤ系の乗客・乗員 103人を残して解放されたが,犯人の要求期限が切れる 10時間前の7月4日午前1時,4機のハーキュリーズ輸送機に分乗したイスラエル・コマンド部隊 100~200人が突如エンテベ空港に着陸,奇襲攻撃をかけ,人質を救出して飛び去った。この攻撃によってハイジャック犯人7人が射殺され,空港警備のウガンダ兵多数が死亡したほか,追撃を避けるための予防措置として,空港にあったウガンダ空軍のミグ戦闘機 11機がイスラエルにより破壊された。一方,イスラエル側も兵士1人が死亡し,人質3人も命を失った。この作戦は大きな国際的波紋を巻き起こし,アフリカ統一機構 OAU首脳会議や東側諸国はイスラエルの行動について,国際法を無視し,ウガンダの主権を犯すものとして非難した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android