精選版 日本国語大辞典 「エルンスト」の意味・読み・例文・類語
エルンスト
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ダダおよびシュルレアリスムの代表的な画家。ドイツのブリュールに生まれ,ボン大学で哲学と美術史を学ぶ。1914年ケルンでアルプと出会う。19年互いに関係のない写真や印刷物を貼りあわせて意外な視像を現出させる〈コラージュ〉を試み,ケルンでダダ運動をおこす。翌年ブルトンらと交友し,やがてシュルレアリスムに加わる。22年パリへ移住し,詩人エリュアールとの共編《不死者の不幸》を出版。25年,目の粗い物体の表面に紙をあて,鉛筆などでこすって視像をえる〈フロッタージュ(摩擦画)〉の技法を発見。この技法は〈精神的な諸能力の刺激感応性を強化する〉幻覚の定着方法といわれるが,これにもとづく作品集《博物誌》を翌年刊行した。〈コラージュ〉による作品集には《百頭女》(1929)と《慈善週間》(1934)がある。〈フロッタージュ〉にせよ〈コラージュ〉にせよ,既存のものをとりあげて再構成し,見る者の想像力に働きかけるものだが,それは頭の中で想い描かれたものを外で客体化する伝統的な表現の仕方を根本的に変えてしまう画期的な方法である。シュルレアリスムの革新的な着想のなかでもきわめて重要なものである。モティーフとしては幼年時代,森の中での神秘的体験にもとづいて創作した〈怪鳥ロプロプ〉などを主題に,表面処理に種々の工夫をこらしつつ,緻密なイメージによって集合的無意識に通じる世界をみごとに視覚化してみせる。39-40年,第2次大戦のため敵国人として収容所に入れられた。41年ニューヨークに渡り,アメリカの若い世代と交流,50年代から活躍しはじめる画家たちに深い影響を与えた。50年パリに戻り,54年ベネチア・ビエンナーレで絵画大賞を受賞。独特な絵画論を展開した《絵画の彼岸》(1948)がある。
執筆者:岡田 隆彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
スイスの物理化学者.チューリヒのスイス連邦工科大学に学び,核磁気共鳴(NMR)の測定理論で,1962年学位を取得.1963~1968年カリフォルニアのVarian社に勤めた後,連邦工科大学に戻り,1976年物理化学教授となる.従来は連続波の周波数掃引によっていた核磁気共鳴スペクトルの測定法にかわり,単一のラジオ波パルスによる核磁化の運動を検出し,フーリエ変換によりスペクトルを得るフーリエ変換核磁気共鳴(FT-NMR)法を開発し,NMRの測定感度を飛躍的に向上させた.さらに複数のラジオ波パルスの間隔をかえて磁化の信号を取得し,二つの時間軸に対してフーリエ変換を行う二次元NMR測定をはじめて行い,NMRによる生体分子などの複雑な高次構造解析に道をひらいた.以上の業績により,1991年ノーベル化学賞を受賞した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…デュシャンは13年以後,量産の日用品を加工も変形もせず作品化する〈レディ・メード〉で,一品制作の手仕事による個性やオリジナリティの表現という,近代芸術の理念にアイロニカルな批判をつきつけ,ピカビアの〈無用な機械〉と名づけた立体や絵画も,機械のメカニズムをとおして人間や芸術を冷笑した。第1次大戦中におこったダダは,これらの実験を総合し,アルプやハウスマンの木片のレリーフ状オブジェや,シュウィッタースのがらくたを寄せ集めた〈メルツMerz〉,エルンストの額縁に入った金庫のようなレリーフ状作品などで知られる。ロシア,オランダの構成主義の,幾何学的構成物も見のがせない。…
…20世紀になって,サルトルはマロニエの〈根〉を見て実存の恐怖を感じ(《嘔吐》),大江健三郎は木を主題とする一連の作品の中で宇宙樹のシンボリズムを復活させた。シュルレアリストのエルンストは森の連作を描いたが,これはロマン派と中世神秘主義を継承したもので,文明に冒されぬ人間精神の根源を象徴する。モンドリアンも木の連作によって,木のもつ宇宙的シンボリズムを水平と垂直のバランスのうちに抽象化した。…
…〈こすり絵,摩擦画〉の意味で,物体の粗い表面に紙などをあてて,鉛筆や筆でこする手法,あるいは作品。子どもの遊びや石拓,魚拓などに古くから用いられているが,この手法に積極的な表現の意味を与えたのは,シュルレアリスム時代のM.エルンストである。彼はある雨の日,ホテルで床板を見ていて,その木目がいらだたしさを伴った幻覚を与えるのに耐えきれず,その上に紙をあてて黒鉛でこすってデッサンを作り,幻覚をしずめた。…
…〈フォトモンタージュ〉ということばは,第1次大戦直後にベルリンのダダイストによってつくりだされたものである。しかし,写真的イメージの合成術は19世紀にすでにあり,またキュビスト(ブラックなど)やM.エルンストのコラージュ,マン・レイらのフォトグラムなどフォトモンタージュに類した技法も見られ,さらにフォトモンタージュそのものの手法も多様で,フォトモンタージュの概念はいまだにあいまいである。ここでは一応,フォトモンタージュを,既成の写真を合成して別のイメージを人工的につくりだす表現と考えることにする。…
※「エルンスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...
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