日本大百科全書(ニッポニカ) の解説 エル(古代西セム人の主神)えるEl 東地中海岸に住んでいた古代西セム人の主神。とりわけ北シリアの古代都市ウガリトの主神として名高く、ウガリト出土文書にしばしば登場するほか、ユダヤ教やイスラム教にもその名残(なごり)が認められ、語源的にはユダヤ教の神エローヒーム(ヤーウェ神の別称)、イスラム教の神アッラーフ(アラー)と同系統である。また、エルはセム語で上方を意味する語と関係づけられ、しばしば「上方の神、天神」と解釈されているが、力強さを意味する子音語根から出たとする説もある。[矢島文夫] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例