エリンギウム(読み)えりんぎうむ

デジタル大辞泉 「エリンギウム」の意味・読み・例文・類語

エリンギウム(〈ラテン〉Eryngium)

セリ科二年草または多年草。多く地中海沿岸地方に分布する観賞用植物。夏に、白また紫色の花が咲く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリンギウム」の意味・わかりやすい解説

エリンギウム
えりんぎうむ
[学] Eryngium

セリ科(APG分類:セリ科)の1属名。葉片に刺(とげ)のある多年草で、地中海地方や南アメリカなどに100種ほど分布。葉はアザミに似て切れ込みがあるが、南アメリカのものは細長く、切れ込みはない。花は夏に咲き、マツカサ状の頭状花で目だたないが、その基部にある銀白色の包葉が花弁のように広がり造形的で美しい。草丈は0.6~2メートルになる種類もある。切り花や花壇用として観賞されるおもな栽培種には、ヒゴタイサイコ(オオヒゴタイサイコ)E. amethystinum L.や大形で包葉がみごとなギガンチウムE. giganteum Bieb.、丸葉のマツカサアザミ(マルバヒゴタイサイコ)E. planum L.がある。切り花のほか、最近はドライフラワーにして染色したものも利用される。栽培は日当り排水のよい、石灰質を含んだ砂質土がよい。春播(ま)きにすれば翌年開花する。株分け、根挿しも可能である。

[神田敬二 2021年11月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリンギウム」の意味・わかりやすい解説

エリンギウム
Eryngium; eryngo

セリ科エリンギウム属の総称。 100~200種が世界中に分布する多年草または一,二年草。花は球状または円柱状の頭状花序を形成し,とげのある装飾的な総包に包まれている。葉は互生し,葉縁にも鋭い鋸歯がつく。青色白色の花弁は萼片 (がくへん) より短く目立たないが,花序や総包が全体に銀青色を帯びる種類が多く,独特の雰囲気があって美しい。エリンギウム・アルピヌム E.alpinumやエリンギウム・プラヌム E.planumなどは,切り花としても流通している。日当りと,水はけのよい乾燥ぎみの土壌を好む。夏の高温多湿を嫌うため,日本では宿根化しにくい。

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百科事典マイペディア 「エリンギウム」の意味・わかりやすい解説

エリンギウム

ヨーロッパや南北アメリカに原産するセリ科の多年草または2年草で,約200種がある。刺状の鋸歯をもつ葉を互生し,茎頂や枝端に球〜長球状の頭状花序をつけ,花序のつけ根によく目立つ総苞をもつ。花色は青または白色であるが,ときに花序や総苞,葉までも青紫や銀白色をおび,観賞価値に富むものが多く,切花やドライフラワーに用いられる。総苞片が幅広くて全体が銀緑色をおび,長さ10cmほどの花序をもつエリンギウム・ギガンテウム,総苞片が羽状に切れ込んで全体が銀白色をおび,長さ3cmほどの花序をもつエリンギウム・アルピヌム,青紫色をおびた花序は長さ10〜15mmと小型であるが,園芸品種も選抜されて切花として多用されるエリンギウム・プラヌム(和名ヒゴタイサイコ)などが主要栽培種。

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