エボナイト(英語表記)ebonite

翻訳|ebonite

精選版 日本国語大辞典 「エボナイト」の意味・読み・例文・類語

エボナイト

〘名〙 (ebonite) 生ゴムに三〇~五〇パーセントの硫黄を加え長時間熱して得られる、黒い光沢のある製品。機械的加工性、電気絶縁性耐酸、耐アルカリ性にすぐれる。電気器具、電気絶縁材料などに用いる。硬質ゴム。バルカナイト。〔電気訳語集(1893)〕

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デジタル大辞泉 「エボナイト」の意味・読み・例文・類語

エボナイト(ebonite)

生ゴムに多量の硫黄をまぜ、加熱して得られる黒色の角質状の物質。化学的に安定で、電気絶縁性にすぐれる。万年筆の軸や電気器具などに使用硬化ゴム。硬質ゴム

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改訂新版 世界大百科事典 「エボナイト」の意味・わかりやすい解説

エボナイト
ebonite

天然ゴムスチレン・ブタジエンゴムSBR)などに多量の硫黄を加えて加硫した硬質ゴム。黒檀(こくたん)ebonyに似て黒く光沢があることからエボナイトと呼ばれる。1851年のロンドン万国博覧会にN.グッドイヤー(加硫現象を発見したC. グッドイヤーの弟)によって初めて製品として出品された。普通のゴム製品の加硫にはゴム100重量部に対して0.5~5重量部の硫黄が使用されるが,エボナイトの場合には25~70重量部という多量の硫黄を加え長時間かけて加硫する。加硫時の容積収縮や発熱を抑えたり,コストダウンなどの目的でクレー炭酸カルシウムなどの充てん(塡)剤を配合する。化学的安定性,耐薬品性にすぐれ,また電気絶縁性,機械加工性にもすぐれるため,製品の出現した当初は,蓄電池槽,電気絶縁材料,パイプ,種々の容器などに使用されてきたが,石油化学の発展とともに登場した加工性に富む各種プラスチックにほとんどその座を奪われてしまった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エボナイト」の意味・わかりやすい解説

エボナイト
えぼないと
ebonite

天然ゴムの生ゴム100に対して硫黄(いおう)30~40を加え、長時間加熱して得られる樹脂状物質。硬質ゴムともいう。外観がエボニーebony(黒檀(こくたん))に類似しているところから、エボナイトと命名された。加硫時に加える配合剤によって美しい光沢と色(褐色~黒色)を示し、伸びが3%程度のプラスチックに近い固体である。80℃程度で柔らかくなるが流動性はなく、耐酸性、耐アルカリ性、電気絶縁性、機械加工性が優れている。19世紀後半から電気絶縁体やライニング材などに使われていた。その大部分は20世紀後半に類似の性能をもつ各種プラスチック・ゴムに置き換わった。万年筆の軸、ボウリングのボール、楽器などの用途が残っている。

[福田和吉]

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化学辞典 第2版 「エボナイト」の解説

エボナイト
エボナイト
ebonite

ゴムに対して結合硫黄量が30% 以上の加硫ゴムをいう.生ゴムあるいはある種の合成ゴムに多量の硫黄を加え,比較的長時間加熱して得られる.美しい光沢と強度,化学安定性,電気絶縁性,機械加工性がすぐれ,万年筆の軸,絶縁体などに使われていたが,プラスチック工業の躍進により,その用途が狭められつつある.

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百科事典マイペディア 「エボナイト」の意味・わかりやすい解説

エボナイト

ゴムに硫黄を結合(加硫)させて得られる黒色光沢のある樹脂状物質。硬質ゴムとも。比重1.1〜1.5。60〜70℃で軟化するが流動性は示さない。耐化学薬品性,電気絶縁性,機械加工性が良好で,電気絶縁物,耐食ライニング,パイプ,様々な容器に多用されたが,各種プラスチックに代わられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エボナイト」の意味・わかりやすい解説

エボナイト
ebonite

天然ゴムなどの原料ゴムに多量の硫黄 (20%以上) を加え,長時間熱して (→加硫 ) ,合成樹脂状にした硬質のゴム製品。強度,加工性,化学的安定性,絶縁性が良好で,軟質ゴムに比べ老化しにくい。軟化点は 60~100℃。電気機器,各種工業装置のライニング材などに利用される。

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