エプロン(英語表記)apron

翻訳|apron

デジタル大辞泉 「エプロン」の意味・読み・例文・類語

エプロン(apron)

衣服の汚れを防ぐため、胸からひざ、または腰から下を覆う洋風の前掛け
飛行場で、旅客の乗降や貨物の積み降ろし、整備点検などを行うため、航空機が停留する区域。
ゴルフで、フェアウェーからグリーンへの入り口になっている斜面。花道。
エプロンステージ」の略。
[類語]前垂れ前掛け割烹着上っ張り

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精選版 日本国語大辞典 「エプロン」の意味・読み・例文・類語

エプロン

〘名〙 (apron)
① 着衣が汚れないように、腰から膝、あるいは胸から膝へ掛ける、西洋風の前掛け。割烹着(かっぽうぎ)をいうこともある。
風俗画報‐一一〇号(1896)服飾門「西洋にも apron(エプラン)と云ひて前垂(まへだれ)に似たるものあれど」
② 飛行場の施設の一つ。格納庫やターミナルの前の舗装された区域。飛行機が停止して乗客の乗降、貨物の積み下ろし、給油などが行なわれる。〔航空工学便覧(1940)〕
護岸。また、ダムの溢水を防ぐための護床。
※水の葬列(1967)〈吉村昭〉一「足もとには、エプロンを溢流する水量がすさまじい飛沫をあげて流れている」
④ 洋風の洗面台、流しの後部にある水返し。
⑤ 「エプロンステージ」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「エプロン」の意味・わかりやすい解説

エプロン
apron

衣服の保護,装飾のために身体の前面を部分的に覆い,労働衣,制服などに用いられる布。基本的には垂らす,巻くの形で,袖はつかない。クレタ文明の彫像にあらわれ,西欧中世では農民,職人,料理人,召使女などの作業衣として不可欠のものとなり,ベルトに道具を挟んだり,ポケットをつけて物を運んだりした。石工は皮革,召使女は白麻製というように,職業により素材,色,大きさなどが区別され,15世紀ドイツのライン川中流域では,女性の短いエプロンが禁止されるなど,奢侈禁止令の対象になった。16世紀に上層階級に広がり,以後,絹地,レースにししゅうや縁飾や宝石をつけたり,赤,青,花柄など色彩,模様も豊富になった。18~19世紀には季節や用途によって素材と色が使い分けられ,日曜日にはフランス,デンマークでは白,スイス,ドイツでは黒い絹のものが着用された。19世紀になると,女子学生,ウェートレス,看護婦の制服となった。

 日本では,奈良時代に,の下に着けた(ひらみ)に前垂れ形式が見られ,平安時代には,宮中で浴場奉仕をする女官が白い湯巻を着けたり,庶民の女性は膝丈の1枚の布を腰に巻きつけて働いた。江戸時代に〈前垂れせぬ者はなし〉(《飛鳥川》)といわれるほど普及し,茶屋女,下女,農婦,芝居小屋の札売女,仲居などは,木綿の赤前垂れにたすきがけで働いた。商家では紺木綿の前垂れに屋号を染めて用いられ,奉公人の身分をあらわした。大正時代に盛んであったカフェでは,胸当てのついた白木綿の洋風エプロンが,女給の制服として用いられた。
前掛け
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エプロン」の意味・わかりやすい解説

エプロン
えぷろん
apron

前掛け、前垂れのこと。防護や防水を目的とした膝(ひざ)掛けの類から、民族衣装にみられるような装飾傾向の濃いものまでさまざまなものがある。服飾全般のなかで、この前掛け類はもっとも原型的衣服といえるもので、その単純なものはすでに先史人や古代エジプト人の間にみられる。初期には木の葉、樹皮、獣皮などが用いられていたが、歴史時代に入って皮革、布地が一般的となった。

 ヨーロッパで上流婦人のドレスの一部に加わって、その装飾に不可欠の役割を果たすようになったのは16世紀以降のことである。17世紀にはフォーマルな婦人服の一要素として流行を示し、レースなどの上質な材質が選ばれ、刺しゅうや縁どりにダイヤモンド、パールをはじめさまざまな宝石類を留め付けたものも現れた。18世紀は装飾的エプロンの最盛期で、もっとも華美なものの代表例としてマリ・アントアネットが用いたレース、リボン、生花、造花、それに真珠で飾られた絹のエプロンがある。現代では装飾用のエプロンより、実用性に重点を置いたもののほうが主流を占めているが、日常生活に潤いや夢を与えるような楽しいデザインのものも求められ、喜ばれている。また形、大きさは、時代のドレスの流行、とくにスカートの長さ、形に関連している。

 語源はラテン語のナプキン(食卓を覆う布)を意味するmappaであり、フランス語に入ってnappe、中世英語でnapronとなり、an apronに転化したもの。

[菅生ふさ代]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エプロン」の意味・わかりやすい解説

エプロン
apron

テーブルクロス,ナプキンの意のラテン語 mappaに発した英語で,前掛け,前垂れの意。衣服の汚れを防ぐため,または装飾品として,基体となる衣服の上に重ねて着ける男女両用の付属的衣服の一種。防汚用はおもに厚手木綿,皮,合繊,ギンガム,防水加工布,オイルクロスなど,装飾用はウール,タフタオーガンディなどでつくられる。ウエストから下部だけのものと,胸当てがついているものとがあり,つけ紐やベルトで装着する。祖型はすでに古代エジプトにみられるが,今日のものは 13世紀から登場し,労働者や家事従事者などに用いられた。のちには装飾品として発達し,17~18世紀に女性間で流行。丈は長短さまざまで,レース,刺繍,フリルなどで飾られた。ほかに,無蓋馬車に乗る際の膝掛け,法衣の前垂れ,張出し舞台,靴の甲を包む部分などの意味もある。

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リフォーム用語集 「エプロン」の解説

エプロン

浴槽の外周の立ち上がり部分(垂直部分)のうち、浴槽と同じ仕上げが施されている部分。エプロンのつき方で、1方半エプロン・2方半エプロン・1方全エプロン・2方全エプロン・エプロンなしなどの種類がある。2方半エプロンとは、半埋込タイプの浴槽用で浴槽の外周4面のうち、2面にエプロンがついているもの。→浴槽

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「エプロン」の解説

エプロン【apron】

➀浴槽の外側の垂直に立ちあがっている面。またはそこにつけられた仕上げパネル。
➁建物の周囲で、張り出すように舗装された部分。

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世界大百科事典(旧版)内のエプロンの言及

【海底地形】より

…鞍部saddle海嶺の中または近接する海山の間にあり,鞍状をなす低い部分。 エプロン斜面apronarchipelagic apron―とくに島嶼や海山の群れのまわりにみられる緩い斜面で,ふつう滑らかな海底面を有する。 海脚spurある大きな地形から伸び出す従的な高まり,海嶺または海膨。…

【空港】より

…空港によっては出発機と到着機を同時に走行させるため2本の併行誘導路をもつところもある。 駐機場はエプロンapronまたはランプrampとも呼ばれ,ターミナルビルの前や整備地区に接して設けられた広場で,貨客の積卸し,給油,点検・整備,駐機などを行うための場所である。駐機場には航空機を停留させるため一定の駐機点(スポット)が設けてあり,大型空港ではこれを100ヵ所以上もつところも少なくない。…

【衣服】より

…南アメリカのポンチョは頭を通す穴だけをあけた形である。腰衣型は古代エジプトなどの地中海沿岸や熱帯地方に見られ,腰部から下部を覆う衣服で,別名エプロンとも称される。インドネシアなどのサロン,ミャンマーのロンギlongiなどがある。…

※「エプロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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