エバンズプリチャード(英語表記)Edward Evan Evans-Pritchard

改訂新版 世界大百科事典 「エバンズプリチャード」の意味・わかりやすい解説

エバンズ・プリチャード
Edward Evan Evans-Pritchard
生没年:1902-73

イギリスの社会人類学者。歴史学を専攻後,1926年より40年にかけて,スーダンアザンデ族ヌエル族ヌアー族)で緻密な社会人類学的調査を行った。第2次大戦中は軍役に従事するかたわらスーダンのアヌアク族を調査,戦後リビアのサヌシ族の調査をした。この間ロンドン大学,エジプト大学(現,カイロ大学),オックスフォード大学ケンブリッジ大学等の教職を歴任した後,46年ラドクリフ・ブラウンの後任としてオックスフォード大学教授となった。70年に引退するまでアフリカの政治体系,親族,宗教,哲学に関する多くの著作を世に問うとともに若手研究者を育成し,大きな影響を与えた。主著は《アザンデ族における妖術託宣および呪術》(1937),《ヌアー族》(1940),《ヌアー族の宗教》(1956)など。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のエバンズプリチャードの言及

【政治人類学】より

…諸民族の文化に認められる多様な政治現象を比較研究する文化人類学の一分野。主要な政治現象としては,統治の構造,権威と権力の集中と配分および制度化の程度,各種集団の意思決定過程,またそれら集団間の支配,敵対,同盟などの諸関係,さらには民族統一や国民形成などがあげられるが,これらのいわば古典的政治現象に対して,今世紀半ば以降,新しい展開がみられた。それは第三世界の独立国における国民形成,宗教ないしイデオロギーの違いによる国際緊張,南北国家間の経済格差などの諸問題であるが,これらの問題を通じて比較文化論的アプローチの重要性がしだいに認識され,比較的新しい研究ジャンルである政治人類学の方法が注目されるに至った。…

【ヌエル族】より

…自称はナースNaath。1930年代にイギリスの社会人類学者エバンズ・プリチャードが調査し,三部作の民族誌を著した。本項の記述は主として彼の著作によるもので,30年代のヌエル社会のことである。…

※「エバンズプリチャード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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