エドワード(懺悔王)(読み)えどわーど(英語表記)Edward, the Confessor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エドワード(懺悔王)」の意味・わかりやすい解説

エドワード(懺悔王)
えどわーど
Edward, the Confessor
(1002/1005―1066)

ノルマン朝成立以前の、最後のアングロ・サクソン系のイングランド王(在位1042~1066)。エセルレッド2世Ethelred Ⅱ(968?―1016、在位978~1016)とエマEmma of Normandy(985?―1052)との子。1013年のデンマーク王スベンの攻撃を避けてノルマンディーに逃れ、そこで育った。デーン朝ハーザクヌードHardeknud(ハーデクヌーズ)王(1019?―1042、デンマーク王(在位1028~1042)、イングランド王(在位1040~1042))の死後即位。修道士のような風貌(ふうぼう)のため懺悔(ざんげ)王とよばれた。ウェセックス伯ゴドウィンGodwine(1053没)の専横に不満で、ノルマン人貴族を寵愛(ちょうあい)し、ノルマンディー公ウィリアムに王位後継を約束した。王のノルマン人偏重政策は、ゴドウィン伯を反抗に走らせた。その子ハロルド伯も権勢を振るい、王は晩年は信仰生活を送った。王はイングランド南東部の5港市に特権を与えて海上防衛にあたらせ、ウェストミンスター修道院を壮大にした。彼の時代は、最後のアングロ・サクソン王の時代として、のちに理想化された。

[富沢霊岸 2022年10月20日]

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