エトピリカ(英語表記)Fratercula cirrhata; tufted puffin

精選版 日本国語大辞典 「エトピリカ」の意味・読み・例文・類語

エト‐ピリカ

〘名〙 (etu pirika 美しいくちばしの意) ウミスズメ科海鳥全長約四〇センチメートル。夏は羽が全体に黒く、顔が白色で目の後方に黄白色の飾りばねがある。くちばしは縦に扁平で大きく、先の半分は橙黄色で後半は黄緑色。冬は飾りばねがとれ、顔は黒褐色、くちばしは褐色を帯びる。日本では北海道東部の沿岸繁殖。冬、まれに本州沿岸に渡る。おいらんどり。

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デジタル大辞泉 「エトピリカ」の意味・読み・例文・類語

エト‐ピリカ

アイヌ語。美しいくちばしの意》ウミスズメ科の海鳥。全長約37センチ。全身が黒く、繁殖期には頭の黄色い飾り羽と赤いくちばしが目立つ。北太平洋分布。北海道で少数が繁殖。おいらんどり。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エトピリカ」の意味・わかりやすい解説

エトピリカ
Fratercula cirrhata; tufted puffin

チドリ目ウミスズメ科。全長約 35cm。全体暗褐色で,夏羽(→羽衣)では顔が白く,眼の後方から後ろに伸びて湾曲するよく目立つ黄色の長い房状飾り羽がある。縦に平べったい大きなが特徴的で,色は赤く基部は灰褐色和名は「美しいくちばし」を意味するアイヌ語からきている。脚は橙色。冬羽の時期には飾り羽を欠き,顔も黒く,嘴や脚の色もあせている。おもに海上で生活する海鳥で,魚類主食だが,イカや甲殻類,貝なども食べる。空中から海中に飛び込み,水中ではばたいて泳ぎ,獲物を追いかけて捕まえる。オホーツク海からカムチャツカ半島アリューシャン列島アラスカ半島南部,北アメリカ北部の北太平洋からさらにカリフォルニア州の沿岸にまで分布する。日本では北海道南東部の沿岸の崖地や島でごく少数が繁殖する。

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改訂新版 世界大百科事典 「エトピリカ」の意味・わかりやすい解説

エトピリカ
tufted puffin
Lunda cirrhata

縦に平たいくちばしをもった大型のチドリ目ウミスズメ科の鳥。アイヌ語の〈くちばしが美しい〉に由来した名である。ベーリング海周辺,千島列島,北海道,アラスカ南部,カナダ西海岸で繁殖し,冬はやや南へ移動する。日本では北海道の島などで繁殖し,冬は南下して本州北部の海上にもくる。全長約39cm。夏羽では額,眼のまわり,くちばしの根もとは白く,眼の上から房状の黄白色の飾羽が出ている。体の残りの部分は黒い。くちばしの先端2/3くらいは赤く,残りは緑黄色。脚は赤色。冬羽では顔の白色部は淡黒色となり,飾羽もなくなり,体の下面は褐色を帯びる。秋冬には岸から離れた海上にもいるが,繁殖期には営巣地の近くの海にいて,水に潜って魚をとる。営巣地の島と採食地の海上とを速い羽ばたきで直線的に飛んで往来し,何匹もの魚をくわえて営巣地へ戻ってくる。島の崖に穴を掘って中に1腹1卵を産む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エトピリカ」の意味・わかりやすい解説

エトピリカ
えとぴりか
tufted puffin
[学] Lunda cirrhata

鳥綱チドリ目ウミスズメ科の海鳥。全長37センチメートル。体は全体が黒褐色で、嘴(くちばし)は縦に平たく体のわりに大きい。夏羽では顔が白色で、眉(まゆ)の部分に黄色の飾り羽が房状に現れる。嘴も橙赤(とうせき)色で鮮やかになり、足も赤いため北海道ではオイランチョウともよばれる。ベーリング海およびオホーツク海の沿岸をはじめ、カリフォルニアから北海道までの太平洋北部の寒流域に分布する。離島などの崖(がけ)の上の草地に1メートルほどの横穴を掘り、1卵を産む。潜水が得意で、数十メートルは潜ることができ、小魚をとらえて食べる。北海道東部の離島で少数が繁殖している。冬季には北海道だけでなく、本州北部の海上でもまれにみられる。「エトピリカ」とはアイヌ語で美しい鼻、美しい嘴の意である。

[柳澤紀夫]

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百科事典マイペディア 「エトピリカ」の意味・わかりやすい解説

エトピリカ

ウミスズメ科の鳥。翼長19.5cm,黒色だが,顔にある淡黄色の飾毛が目だつ。くちばしは平らで大きく,繁殖期には角質板を生じ冬は脱落する。ベーリング海〜オホーツク海沿岸や北海道東部の島で繁殖し,草地に穴を掘って1卵を産む。海上で生活し魚を主食とする。エトピリカとはアイヌ語でくちばしの美しい鳥の意味。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。

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