エッセー(英語表記)essay

翻訳|essay

精選版 日本国語大辞典 「エッセー」の意味・読み・例文・類語

エッセー

[1] 〘名〙 (essay essai)
① 文学の一ジャンル。自由な形式で書かれ、見聞、経験、感想などを気のむくままに書き記した文章。随筆
※柵草紙の山房論文(1891‐92)〈森鴎外〉エミル・ゾラ没理想「ゾラが小説に就いての没理想論は試験小説 Le roman expérimental と題したる数篇の『エッセイ』にあり」
特定テーマに関する論述。随筆風小論文。小論。評論論説
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「余程最う研究が出来たでせう?早く論文(ヱッセー)が見たい事ね」
[2] (原題Essais) 随想集。モンテーニュ著。一五八八年、三巻本として発表。随想録

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デジタル大辞泉 「エッセー」の意味・読み・例文・類語

エッセー(essay)

《「エッセイ」とも》
自由な形式で意見・感想などを述べた散文。随筆。随想。
特定の主題について述べる試論。小論文。論説。
[類語]随筆随想小品小文小品文身辺雑記漫文漫筆スケッチ

エッセー(〈フランス〉Essais)

随想録ずいそうろく

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改訂新版 世界大百科事典 「エッセー」の意味・わかりやすい解説

エッセー
essay

本来この語は日本語の〈随筆〉よりもっとまじめな論考をさすはずである。なぜならこの語の語源は,フランス語動詞の〈エセイエessayer〉,英語の〈アセイassay〉であり,〈試みる〉〈ためす〉を意味するから。したがって〈エッセー〉は〈試論〉とでも訳すべく,内容としては高度な学術論文までを含みうるものである。とはいうものの,ヨーロッパ文学で散文芸術の一つのジャンルとして確立された〈エッセー〉(リテラリー・エッセーとも呼ぶ)は,日本の随筆とかなり近いものと考えてよい。その功績は主としてモンテーニュに帰せらるべきであろう。彼の《随想録》(1580,88)は,深く広い思索を,くだけた気ままな文体で,気の向くままに書きとめたかたちをとっており,新しい魅力ある散文芸術様式として後世に大きい影響を及ぼしたからである。パスカルの《パンセ》(1670)は,モンテーニュとはまったく異質の思想を語りながら,《随想録》の影響ぬきには考えられない。モンテーニュは早い段階で英訳され,イギリスにおけるエッセー文学の隆盛の一つのきっかけとなった。F.ベーコンの《随筆集》(1597,1612,25)はそのはしりだが,自己省察を基本としながら万象を考察するという性格においてモンテーニュと共通するとはいえ,文体は引き締まってきびしい。その後,ウィットとユーモアを貴ぶイギリス人気質に沿って,このジャンルは独自の作品群を生んでいった。アディソン,スティールら18世紀の文人の手にかかると,それは初期のジャーナリズムの文体の一部となった。しかしエッセー文学の頂点はチャールズ・ラムの《エリア随筆》(1823,33)であり,彼こそ〈エッセイスト〉以外の名前では呼ぶことのできない文人であった。イギリス人好みのユーモア(気質のゆとり)を彫琢(ちようたく)の名文で綴ったものである。同時代のハズリット,ド・クインシーから,20世紀のチェスタートン,R.リンドまで,イギリス人のエッセー好きは続いている。
随筆
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百科事典マイペディア 「エッセー」の意味・わかりやすい解説

エッセー

作者がある主題に関する感想または心境をおりにふれ,作者の自由な発意のままに表現した,きわめて個性的な著作形式。モンテーニュの《随想録》(1580年)に端を発した,ヨーロッパの散文による文学のジャンルだが,日本の随筆に近い。語源のフランス語essayerは,〈試みる〉の意。
→関連項目猿谷要プルタルコス

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とっさの日本語便利帳 「エッセー」の解説

エッセー

日本でいう随筆とは異なり、限定されたテーマに関して自分の見解を記述する小論文。大学や大学院の入学の際には、Statement of Purpose(出願目的)をテーマに記述したEssayを提出する。また、学術論文をAcademic Essayと呼び、課題としてしばしば提出させられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エッセー」の意味・わかりやすい解説

エッセー

随筆」のページをご覧ください。

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