エコ・ファースト制度(読み)えこふぁーすとせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エコ・ファースト制度」の意味・わかりやすい解説

エコ・ファースト制度
えこふぁーすとせいど

環境対策に取り組む先進的な民間企業であることを、環境大臣が認定する制度。2008年度(平成20)発足。業界ごとに環境優先(エコ・ファースト)で事業に取り組む先進的企業を認定・公表することで、優れた環境施策を各業界に普及させるねらいがある。(1)脱炭素、(2)循環経済、(3)大気・水・土壌などへの汚染対策、(4)化学物質の適正管理・情報開示、(5)自然との共生・生物多様性、(6)環境教育、(7)環境金融、(8)1~7以外の環境保全策、の8分野のうち、その企業の取り組みの目標に、一つ以上の分野で先進性・独自性・波及効果があり、三つ以上の分野で環境保全上適切な目標を掲げる企業を認定する。認定を受けると、「エコ・ファースト・マーク」を使用・掲示でき、宣伝などに活用できるほか、環境省の公共入札で優遇される。認定期間は5年で、更新可能。定期的に進捗(しんちょく)・達成状況を環境省に報告する必要があり、認定の取消しもある。2023年度(令和5)時点で、認定企業は製造、建設運輸物流、小売り、サービス、金融・保険など66社。環境省は当初、「100業種をめどに、1業種1社を認定する」としていたが、建設業熊谷(くまがい)組、清水建設大成建設東急建設戸田建設西松建設を認定するなど、同一業種で複数企業を認定するようになった。認定企業が加盟し、最新環境行政や先進的取組みについて情報共有する団体として「エコ・ファースト推進協議会」がある。

[矢野 武 2024年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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