ウーリーモンキー(英語表記)woolly monkey

改訂新版 世界大百科事典 「ウーリーモンキー」の意味・わかりやすい解説

ウーリーモンキー
woolly monkey

霊長目オマキザル科ウーリーモンキー属Lagothrixに属する新世界ザルの総称羊毛を思わせる密な体毛で覆われ,長く器用な尾をもつ中型のサル。別名ヨウモウザル。この属には,ヘンディーウーリーモンキーL.flavicaudaフンボルトウーリーモンキーL.lagotrichaの2種が含まれる。前者はアンデス山中で発見されたが,1927年以降見られていない。後者はアマゾンの熱帯降雨林に広く分布し,頭胴長は40~50cm,尾長50~60cm,体重3.5~9.0kgで顔がまるい。体色は黒色灰色,オリーブ色,褐色と変異に富む。尾は把握力をもち,体を支えることができる。樹上性ではあるが地上に降りることもあり,果実,木の葉,昆虫などを食べる。20~50頭の多雄多雌の群れをつくり,二つの群れが混ざり合うこともある。性質はおとなしく,表情が豊かで,南アメリカのサルの中では知能が高いほうである。人間にもよく慣れる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウーリーモンキー」の意味・わかりやすい解説

ウーリーモンキー
うーりーもんきー
woolly monkey

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オマキザル科ウーリーモンキー属に含まれる動物の総称。同属Lagothrixは、フンボルトウーリーモンキーL. lagothrichaおよびヘンディーウーリーモンキーL. flavicaudaの2種に分けられる。前者は、アマゾン中流から上流域では非常にポピュラーなサルであるが、後者はペルー領アンデス山地のごく限られた地域にのみ生息する。両種ともオマキザル科のなかでは大形で、体重約10キログラム、頭胴長41~58センチメートル、尾長56~73センチメートル。体格はがっしりとして筋肉の発達がよく、羊毛状の体毛が密生している。このためヨウモウザルともよばれる。尾の先端下面には毛がなく、把握力が強くて、尾だけでぶら下がることができる。とくに果実を好むが、葉や昆虫も食べる。十数頭から50頭ぐらいのよくまとまった群れをつくって生活する。群れの行動域は広く、4~5平方キロメートルに及ぶ。

[西邨顕達]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウーリーモンキー」の意味・わかりやすい解説

ウーリーモンキー
Lagothrix; woolly monkey

霊長目オマキザル科ウーリーモンキー属のサルの総称。大型のサルで,体長 40~60cm。尾は体長より長く,先のほうの内側には毛がなく,物に巻きつけることができる。体毛は柔らかく羊毛状に密生しているので,ヨウモウザルとも呼ばれる。しかし,顔には毛がなく,顔つきもヒトに似る。 12~25頭の小群をつくって樹上で生活する。昼間活動性で,おもに果実,木の葉,花などの植物質を食べる。南アメリカ北部の森林に分布する。

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