ウーステッド
うーすてっど
worsted
イギリス、ノーフォーク県にある地名からとり、ここで始められた毛織物をさしたが、いまは主として男子服に用いられる梳毛(そもう)織物をいう。梳毛織物、毛織物服地の名称としてウーステッドというのは、羊毛の長い部分を使って紡績し、緻密(ちみつ)に織られたもので、仕上げは毛羽(けば)をとり、柄(がら)をはっきりさせるのが普通である。一般に薄地、中肉、厚地の3種に大別される。組織は杉綾(すぎあや)、斜文(しゃもん)、変り織などにより、無地および縞(しま)、格子、霜降りなどに先染めにしたものが多く、ヘアライン、ヘリンボーン、ピンヘッドなど、さまざまの組織や柄があるが、主として春、夏、秋の背広地に多く使われ、婦人服では男仕立てのスーツに用いられることが多い。
[角山幸洋]
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ウーステッド
worsted
梳毛織物の一種で,製織後,剪毛したものの呼称。この織物の原産地であるイギリスのノーフォーク県ウーステッドにちなんで名づけられた。剪毛して地肌があらわになっているため模様や縞が比較的はっきりしている。合服や冬服用の背広地としてこれをさらにいくぶん起毛したミルドウーステッドが多く用いられる。
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「ウーステッド」の意味・わかりやすい解説
ウーステッド
英国,ノーフォークシャーの地名に基づく梳毛(そもう)織物。毛羽がなく織目がはっきりしている。綾織,平織,繻子(しゅす)織,変り織にされ,柄は無地,霜降,縞(しま)などで,いくぶん起毛したミルド・ウーステッドもある。しわにならず丈夫で背広服地に適する。化繊,合繊もある。
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ウーステッド
〘名〙 (worsted イギリス、ノーフォーク地方の毛織物産地の名から)
梳毛糸(そもうし)で織った毛織物。背広・オーバー地用。サージが代表。
※自由学校(1950)〈獅子文六〉夏の花咲く「ウーステッドの合服一枚で、出ていった良人が」
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デジタル大辞泉
「ウーステッド」の意味・読み・例文・類語
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ウーステッド【worsted】
梳毛糸(そもうし)で織った毛織物。毛織物を大別すると,この梳毛織物と,紡毛糸で織った紡毛織物(ウールンwoollen)とにわけられる。梳毛は1インチ(2.54cm)以上の長い繊維で,長さ太さの均等な上質の羊毛を使用。短い繊維を省き,撚りをかけて糸にし,番手の細いものを使用して平織,綾織,繻子織などにする。毛織物としては表面が滑らかで,平たくさらりとした風合いをもつ。薄手ながら緻密に織られているため,弾力と張りがあるのが特徴。
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世界大百科事典内のウーステッドの言及
【レバント貿易】より
…17世紀にはイギリス,オランダの船舶が地中海へ進出し,イタリアやカタルニャの船をしのぐようになった。とくにイギリスは東・中央ヨーロッパへの毛織物輸出の不振を挽回(ばんかい)するべく,薄手毛織物(ウーステッド)を生産し,これをトルコ市場へと大量に売り込むことに成功した。また,イギリスの東インド会社,オランダの東インド会社による植民地経営によって,アジアの特産品が直接西ヨーロッパにもたらされるようになり,レバント貿易はその役割を終えることになった。…
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