ウルグ・ベク(読み)うるぐべく(英語表記)Ulugh Beg

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルグ・ベク」の意味・わかりやすい解説

ウルグ・ベク
うるぐべく
Ulugh Beg
(1393/94―1449)

ティームール帝国第4代の君主(在位1447~49)。第3代シャー・ルフの子。父の在世中はマーワラー・アンナフル(アムダリヤ以北)の総督として、38年間サマルカンドに住み、そこに天文台を建設した。また学者の協力を得て天文表を作成した。この天文表は、東洋から西洋に伝わった天文表のうち、もっとも正確で完璧(かんぺき)なものといわれ、1650年にイギリスで出版された。また暦もつくった。それは十二支獣で年を示し、春分を元日とするイラン暦により、月の名は黄道十二宮のアラビア語名を用いている。このような文化面での名声とは逆に君主としては不運で、即位後まもなく甥(おい)のために首都ヘラートを奪われ、子のアブドゥル・ラティーフは捕らえられた。ウルグ・ベクはこの乱を平定して子を救ったが、その子によって殺された。

[勝藤 猛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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