出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
GATT(ガット)が主催した第8回一般関税交渉の通称で詳しくはUrguay Round of multinationaltrade negotiations。ケネディ・ラウンド,東京ラウンドに続くもので,1986年ウルグアイのプンタ・デル・エステで開始されたのでこう呼ばれる。前2回のそれと違い,貿易の中で比重を大きくしてきたサービス貿易や知的所有権,市場アクセスの問題や保護主義的傾向の強い農業などがおもな対象とされた点が特徴。特に農業保護をめぐって米欧の対立が激しく,交渉は難航したが,93年12月合意に達し,最終包括協定案が117ヵ国・地域の代表による委員会で採択され,94年4月,モロッコのマラケシュで開かれた閣僚会議でラウンドの終結が宣言され,GATTに代わり世界貿易機関(WTO)を95年1月に発足させることを確認した。最終合意のおもな内容は,(1)農業分野では関税を2000年までに平均36%削減,ミニマム・アクセス(最低輸入量)の取決め,輸出補助金の削減,(2)サービス分野では金融,運輸,通信など150種以上のすべてが対象で,最恵国待遇が原則,(3)知的所有権分野ではコンピューター・プログラムやデータベースの保護,映画著作者の貸与許諾権を規定,(4)セーフガード(緊急輸入制限)は,国内産業が輸入増により重大な損害を受ける場合などに限定,など。日本もこれにより米の輸入(部分開放)を受け入れることとなり,94年6兆円にのぼるウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策を決定した。
執筆者:古賀 洋
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1986年に開始され,93年12月に実質合意したGATTの新多角的貿易交渉。一括関税引下げ,非関税障壁除去をめざした東京ラウンドをうけ,自由化の対象を金融・通信・情報などのサービス貿易に拡大,農業保護の削減,GATTに代わる世界貿易機関(WTO)の設立による紛争処理機能の強化などが合意された。94年終結し,翌年1月WTOがスタート。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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