ウリクサ(読み)うりくさ

改訂新版 世界大百科事典 「ウリクサ」の意味・わかりやすい解説

ウリクサ (瓜草)
Lindernia crustacea(L.)F.Muell.

畑や庭などのやや湿気の多い所に生える雑草で,ゴマノハグサ科一年草。夏から秋にかけて淡紫色の唇形花をつける。和名果実が瓜に似るのでいう。茎はまばらに分枝して広がり,長さ10~20cm。葉は短い柄があり,卵形で先はあまりとがらず,長さ7~20mm,幅6~13mm,粗い鋸歯がある。上部の葉のわきから細い花柄を伸ばして1花をつける。萼は筒形で先が短く5裂し,5本の稜がある。花冠は長さ約7mm。おしべは4本,下側の2本は花糸の基部に棒状突起があり,虫が触れるとおしべが持ち上がるようになっている。花柱の先は扁平な2片に裂け,開花時には開いているが,虫が触れると急速に閉じる。果実は蒴果(さくか)で,長さ3~4mmの楕円形。日本全土,朝鮮半島,中国,東南アジア,ミクロネシアにごく普通に見られる。中国や東南アジアで,時に民間薬として利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウリクサ」の意味・わかりやすい解説

ウリクサ
うりくさ / 瓜草
[学] Torenia crustacea (L.) Cham. et Schltdl.
Lindernia crustacea (L.) F.Muell.

ゴマノハグサ科(APG分類:アゼナ科)の一年草。茎は分枝して広がり、長さ10~20センチメートル。葉は卵形で粗い鋸歯(きょし)がある。夏から秋にかけて、上部の葉の腋(わき)ごとに1花をつける。萼(がく)は筒形で先は浅く5裂する。花冠は淡紅紫色で唇形。果実は長楕円(ちょうだえん)形で袋状の萼に包まれる。畑や道端に生える雑草で、日本では宮城県以南から沖縄県に生える。アジア、オセアニアアフリカに広く分布する。名は、果実の形がマクワウリに似るのでいう。

山崎 敬 2021年8月20日]

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