ウミナナフシ(英語表記)Paranthura japonica

改訂新版 世界大百科事典 「ウミナナフシ」の意味・わかりやすい解説

ウミナナフシ
Paranthura japonica

磯の海岸線付近の石の下や海藻の間などにすみ,短い7対の胸脚をもつ,一見昆虫のナナフシのように見える細い筒状の体をした小型甲殻類の1種。等脚目ウミナナフシ科。北海道以南,九州までの沿岸にふつう見られる。体長6~12mmくらい。体は淡黄色,褐色の不規則な斑紋があり,頭部は小さく,前側角に比較的大きな複眼がある。第1,2触角は短小。口器は吸い形をしている。第1~6の各胸節は,第7胸節と第1~5腹節とを合わせたもの,ならびに腹尾節とほぼ同大同長に見える。第1~3胸脚は物をはさむのに適した形(亜鋏(あきよう))に,第4~7胸脚は歩行に適した形となっている。尾肢上方に湾曲し,腹尾節と同じく長楕円形をしており,小さな尾扇をつくる。近縁種には,かみ形の口器をもつものもあるが,どれも皆一見よく似た外形を示している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウミナナフシ」の意味・わかりやすい解説

ウミナナフシ
Paranthura japonica

軟甲綱等脚目ウミナナフシ科 Anthuridae。体長 1cm内外。体は細長い円筒形。頭部,第1~7胸節は比較的大きいが,第1~5腹節は側部を残して融合し,1胸節分の長さしかない。北海道から九州まで,沿岸の石の下や海藻の根もとにみられる。ウミナナフシ科は潮間帯から水深 2000m以深の深海にまですみ,体長 2~3mmという微小種も多い。(→甲殻類節足動物等脚類軟甲類

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