ウミツボミ(読み)うみつぼみ(英語表記)blastoid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウミツボミ」の意味・わかりやすい解説

ウミツボミ
うみつぼみ
blastoid
[学] Blastoidea

ウミユリ近縁の棘皮(きょくひ)動物有柄(ゆうへい)亜門に属する海生の化石動物。花のつぼみ状の萼(がく)部(体骨格の中心部分)が化石として産出することが多い。この部分は五方放射対称の規則正しい形をなし、下部の3枚の址(し)板、中央部の5枚の輻(ふく)板、上部の5枚の三角形の計13枚の石灰質の板で構成されていて、萼の大きさは2センチメートル以下のものが多い。上方の口から5方向に伸びたウニ歩帯に似た花弁状の歩足帯が萼部の側面にあり、ここに多くの環節からなる細い羽枝がついている。ウミユリのように環節からなる柄(え)をもち、これで他物に付着して生活するが、柄をもたないで萼で直接付着するものもある。化石では柄や羽枝はとれて保存されていないことが多い。古生代シルル紀に出現して石炭紀ペルム紀二畳紀)に栄え、古生代末に姿を消した。代表的なものにペントレミテスPentremitesがある。外国には多産する地域があるが、日本ではごく少数が記録されているにすぎない。

[藤山家徳]

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改訂新版 世界大百科事典 「ウミツボミ」の意味・わかりやすい解説

ウミツボミ (海蕾)

オルドビス紀~二畳紀に栄えた有柄棘皮動物の絶滅綱Blastoidea。形が植物のつぼみに似るのでこの名がある。ほぼ完全な放射相称をなす点は棘皮動物の標式的な形態を示し,ウミリンゴ類と異なる。13個の石灰板がみごとに配列し,多数の指板をもつ歩帯がある。歩帯下の空洞にある水管が特徴であり,褶状の水管褶の発展段階によって分類されている。アメリカの石炭紀のPentremitesは有名。
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