ウマノミツバ(英語表記)Sanicula chinensis Bunge

改訂新版 世界大百科事典 「ウマノミツバ」の意味・わかりやすい解説

ウマノミツバ
Sanicula chinensis Bunge

山の木陰に生えるセリ科多年草ミツバに似て大きく,香りがないところからウマノミツバまたはオニミツバという。茎は高さ40~90cmになり,上部で分枝する。全体にほとんど毛がない。葉は基部のものは3~5裂して長い柄があり,茎の上部のものは3裂して葉柄が短い。7~9月ごろ,枝先に小型の散形花序を作って小さい白い花をつける。花は雄花両性花があり,雄花は短い柄があって花序のまわりに,両性花は柄がなく,中心にある。果実は2個の分果に分かれて,背面には長い鉤(かぎ)状のとげがある。日本,中国,サハリン,ウスリー地方に分布する。葉をゆがき,水にさらして食用にする。

 ウマノミツバ属Sanicula(英名sanicle)は世界に約40種があって,オーストラリアを除く世界各地に分布している。日本にはクロバナウマノミツバ,フキヤミツバ,ヒメウマノミツバ,ヤマナシウマノミツバなどがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウマノミツバ」の意味・わかりやすい解説

ウマノミツバ
うまのみつば / 馬三葉
[学] Sanicula chinensis Bunge

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。茎は高さ0.3~1.2メートル。葉は3全裂し、ミツバに似るが、小葉はしわがあってさらに切れ込む。花は7~9月、分枝した茎の先の小形の散形花序に少数つき、白色。花序には両性花と雄花がある。果実は卵形で、先端が鉤(かぎ)状に曲がった刺(とげ)がある。日本全国の山野の林内に普通に生える。日本以外では朝鮮半島、中国、東シベリアなどに分布する。ウマノミツバ属はオーストラリアを除く世界に約40種あり、日本には本種のほかに4種が分布するが、いずれもまれなものである。

[門田裕一 2021年11月17日]

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