ウマノオバチ(英語表記)Eurobracon yokohamae

改訂新版 世界大百科事典 「ウマノオバチ」の意味・わかりやすい解説

ウマノオバチ
Eurobracon yokohamae

膜翅目コマユバチ科に属する寄生バチの1種。馬尾蜂(ばびほう)とも呼ばれる。ウマの尾のように長い産卵管をもっていることから由来した名まえであろう。体長は20mm内外であるが産卵管はその6~9倍ある。雑木林の中をその長い産卵管を引きずるように飛翔(ひしよう)している姿は勇壮である。体は全体に赤褐色で,ところどころ黒色を帯びている。翅にはいくつかの褐色の紋があり,また前・後翅とも先端部は褐色にくもっている。木材中のシロスジカミキリ幼虫に寄生することが報告されているが,詳しい生活の記録はまだない。日本に産する同属の他の1種ヒメウマノオバチE.brevitorebraeはこの種に形態はよく似ているが産卵管は短く,ほぼ体の長さに等しい。本州四国,九州と朝鮮半島に分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウマノオバチ」の意味・わかりやすい解説

ウマノオバチ
うまのおばち / 馬尾蜂
[学] Euurobracon yokohamae

昆虫綱膜翅(まくし)目コマユバチ科に属する昆虫。和名は、産卵管がウマのしっぽのように長いことに由来する。樹木の内部深くすんでいる食材性の昆虫の幼虫に産卵することから、産卵管は15センチメートル内外と長くなっているので有名である。シロスジカミキリやボクトウガなどの幼虫に寄生する寄生バチで、体長約2センチメートル。体は黄褐色はねも黄褐色であるが、前ばねに3個、後ろばねに1個の黒褐色の斑紋(はんもん)があり、外縁は暗色を帯びる。本州、四国、九州、台湾に分布する。

[立川哲三郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウマノオバチ」の意味・わかりやすい解説

ウマノオバチ
Euurobracon jokohamae

膜翅目コマユバチ科。体長 15~24mmで,コマユバチ科のなかでは例外的な大型種。体翅ともに黄褐色で,前翅に3個,後翅に1個の明瞭な黒褐色斑がある。触角は黒色でやや太く,棒状である。雌の産卵管は非常に長く,体長の数倍もあり,これを腹端から垂らしながらゆるやかに飛ぶが,死後は巻かれる。和名はこの長い産卵管の形状によって名づけられた。クリなどの材中にすむシロスジカミキリの幼虫に寄生する。本州,四国,九州,台湾に分布する。

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百科事典マイペディア 「ウマノオバチ」の意味・わかりやすい解説

ウマノオバチ

バビホウ(馬尾蜂)とも。膜翅(まくし)目コマユバチ科の昆虫の1種。体長20mm内外,雌は150mmにも達する長い産卵管がある。赤茶色。北海道にはいない。長い産卵管で樹幹中のカミキリムシなどの幼虫に産卵し,これに寄生する。秋に羽化し,そのまま越冬。成虫は晩春〜初夏に現れる。準絶滅危惧(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目コマユバチ

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