ウスチベラヤ遺跡(読み)うすちべらやいせき(英語表記)Усть Белая/Ust' Belaya

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウスチベラヤ遺跡」の意味・わかりやすい解説

ウスチベラヤ遺跡
うすちべらやいせき
Усть Белая/Ust' Belaya

ロシア連邦、東シベリアのアンガラ川流域における中石器文化の代表的な多層遺跡。1966年に報告されたメドベージェフの見解によれば、16層にも及ぶ文化層が河岸段丘上に形成されている。この遺跡で重要な点は、遺跡の下層文化層で、ことに石核の変化から四つの発達段階に編年が可能になったことである。もっとも古いⅥ層の文化遺物は、石核では粗い剥離(はくり)面をもつ楔(くさび)形を主とし、ゴビ型石核が1点含まれていた。また剥片、石刃(せきじん)、掻器(そうき)などのほか、小さな楕円(だえん)形の垂飾も出土した。骨器は組合せやすと思われるものがある。たき火跡の一つの周囲には、多量の魚骨が認められ、当時の生業のなかで、漁労が重要な役割を果たしていたことが明らかである。Ⅴ層からは、整った楔形石核や細石刃などとともに、鹿角(ろっかく)製の尖頭器(せんとうき)や植刃の溝をもつ骨鏃(こつぞく)、また骨製のもり、釣り針なども発見された。Ⅳ層からは円錐(えんすい)形石核や粗雑な石核が出土。Ⅲ層では楔形、三稜(さんりょう)形および鉛筆形などの各種の石核、石刃、掻器、石錐(いしきり)などが出土している。また特異なものには粘板岩製磨製尖頭器がある。Ⅲ層は中石器最末期の文化で、沿バイカル新石器のヒン期に対比できるとされている。動物遺存体はⅥ~Ⅳ層でオオジカシカアカシカオオカミのほか、鳥、魚などが出土している。

[大塚和義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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